オンライン宅配DVDレンタル vs VOD | まる for work

オンライン宅配DVDレンタル vs VOD

TSUTAYAに関連して。
TSUTAYAがオンラインで宅配DVDレンタルを行っている。
TSUTAYA DISCAS

あらかじめ見たいソフトを予約リストとしてリストアップしておけば、自動的に送られてくる。
しかも延滞料なし、返却時はポストへ投函、利用者の郵送料負担なし、というものである。
約30,000タイトルの品揃えがあり、かつ、約15,000タイトルがお届け率100%とのこと。(2/25 11:00現在)
プランは複数あるが、主なプランは、毎月定額料金で一定の枚数までレンタルできる、というもの。
たとえば、\1,974/月で、1ヶ月8枚までレンタルできる。
通常、DVDソフトをレンタルしようと思うと、7泊8日で\400前後ではないだろうか。
それを思えば、よくDVDをレンタルする人にとってはこの値段はお得であろう。

定額料金、延滞料・送料・返却時の送料なしで、しかもこの品揃えの充実。
確かにTSUTAYAは日本最大のレンタルショップだが、それでもこれだけのソフトをストックし、この価格で提供するのは至難の業ではないか。しかも、リアル店舗でのソフト貸し出し業務と平行して、である。
どんなしくみなのか不思議でしらべてみたところ、この「TSUTAYA DICAS」の運営企業はレントラックジャパンという企業であることがわかった。
このレントラックジャパンの事業内容を見ると、「TSUTAYA DISCAS」がどうやって品揃えを実現し、かつ延滞料・送料・返却時の送料なしでサービスを提供しているのかがわかる。

もともとレントラックジャパンは、レンタルソフトにPay Per Transaction(=出来高払い制、以下PPTシステムと表記)を導入した企業のようである。
通常、レンタルショップは、映像ソフトメーカーからソフトを買取、それを会員に貸し出すことでレンタル料金を徴収し、買取の原価を回収する。
一方、このPPTシステムは、映像ソフトメーカーがレントラックジャパンにソフトを貸与、レントラックジャパンがレンタルショップに貸与する。エンドユーザがレンタルショップに支払うレンタル料金を、レントラックジャパン、映像ソフトメーカーが分配する仕組みである。
レンタルショップにとっては買取が発生しないので、ソフトの仕入れにかかる費用負担が楽になり、人気のソフトを大量に仕入れたり、品揃えを充実させられる。
一方、映像ソフトメーカーにとっては、より多くのソフトを市場に流通させることができ、収入機会を拡大できるというメリットがある。
1989年に事業を開始して、2000年には加盟店舗数3000店を突破、2004年にカルチャーコンビニエンスクラブ(つまりTSUTAYA)の連結子会社になっている。
レントラックジャパン発表資料によれば、2003年の市場シェアは30%弱(実績値)、2004年は50%弱(予想値)に達するという。
(以上、レントラックジャパンHPより)

つまり、「TSUTAYA DISCAS」の低価格・品揃えはこのPPTシステムを応用した仕組みであると考えられる。
レントラックジャパンにとって見れば、毎月一定額を支払うユーザを獲得できるわけで、十分あの価格・サービス内容でも収益を上げられるということなのであろう。

一方で気になるのが、VODサービス(=Video On Demand、見たいときに見たいビデオが見られるサービス)との関係である。
現段階ではまだまだVODサービスは普及しているとは言いがたい。
現状のVODサービスは、特定のブロードバンド回線とセットになって訴求されており、どちらかというと回線事業者が自社の顧客獲得のインセンティブとして提供しているサービスのように見えてしまうことがその一因とも考えられる。
ユーザにとって、加入しているBBサービスを変更しなければVODサービスを利用できないのでは、より手軽なDVDレンタルの方が魅力的に映るのは当然のことである。
参考:ITmedia VODサービスが閉塞状況を抜け出すのに必要なものは?

VODサービスを独立したサービスとして、どの回線を利用していても使える、安価である、というふうに訴求する事業者が出てくれば状況は変わってくるだろうが、VODサービスの成功事例がまだないだけに、それがいつになるかは予測が難しいだろう。
「TSUTAYA DISCAS」の今後が楽しみである。