私の月記帳10月

小田原映画祭で「アダン」を観た。5年前、公開を楽しみにしていたが東京の一部の映画館でしか上映されず観られなかった映画。今は故人となったこの映画のプロデューサーが、小田原に縁があって今回取り上げられたという。奄美に死んだ不遇の画家田中一村を榎本孝明が熱演。また、かもめ名画座では「仔鹿物語」を鑑賞。TVが白黒だったころの放映を微かに記憶している。詩情豊なアメリカの自然を画面で堪能した。劇場では今秋は時代劇の上映が続き嬉しい。「十三人の刺客」は肩が凝らない時代劇。権力者の世襲がもたらす弊害と悲劇を描き、北朝鮮の現状を思った。あの国に13人の刺客がいつ現れるのか。「桜田門外の変」も力作だった。映画って本当にいいものだと満足した。

有楽町のアイヌフェスティバルで本田優子札幌大教授の講演を聴き、さらにアイヌの音楽と舞踊を観る。川崎市市民ミュージアムにも出掛け「アイヌ・美を求める心展」も観た。次回の北海道旅行では日高や白老町を訪ね、アイヌ民族の歴史を知ろうと思っている。池澤夏樹の小説「静かな大地」をかつて読んで以来の夢である。

東海道五十三次では草津に向かう途中の家並みに、京風町屋のべんがら格子が見られるようになって京都が近いことを実感。来月は三条大橋だ。帰路、川合さんと途中下車して近江八幡の新町通りを歩き、八幡掘界隈を散策。

今年の紅葉狩りは鬼怒川に行った。ホテル三日月に泊まり、東武ワールドスクウエアに行く。何回行っても楽しいところだ。ここではスカイツリーはすでに完成していた。いろは坂の紅葉は日光の手前のイマイチだった。

芸術の秋である。国立新美術館での「ゴッホ展」では初めて観る作品が数点あり、満足。平塚の「堀文子展」も良かった。彼女は10年前死んだわが母と同年大正7年生まれ。後日、近作展の案内葉書が銀座の画廊から送られてきた。93歳になっても旺盛な創作活動の成果を是非観たい。

尊徳記念館で尊徳祭記念行事新井恵美子氏の講演を聴く。話術は相変わらず明快。また、昨年訪れた町田の小島資料館館長小島政孝氏の講演を大井町で聴いたが、曽祖父が多摩で近藤勇らと理念流を修めたとのことで新撰組等の史実研究の裏話は興味深かった。今日は創立65年になるアマチュア劇団こゆるぎ座の「おさらばでござります」を鑑賞。大政奉還のとき、勤皇か佐幕かに揺れる小田原藩の苦悩を取り上げた劇の再演で、前回も観ているが17年前のことで内容の記憶がなく、新鮮だった。ただ、座付き作家後藤翔如氏が先年亡くなってから今後のこの劇団の存続を危惧されてならない。(克)