このように全国的に見ても、新築のマンションでは修繕積立金が非常に安く設定されているケースが多く見受けられます。こういったマンションの長期修繕計画を見ると、数年おきに修繕積立金の値上げが設定されていて、年を経るごとに二次曲線を描いて金額が上がっていく計画になっています。
新築時の安い修繕積立金の設定では、将来の大規模修繕工事の費用を十分に蓄えることはできませんので、当然値上げが必要になってきます。そこで、管理組合はどこかの時点で、多かれ少なかれ修繕積立金の値上げに着手しなければなりません。
先日あるマンションで、月額約6,000円の修繕積立金を、今後15年かけて段階的に値上げをし、最終的には当初の約5倍の30,000円まで値上げするという長期修繕計画を見ました。ところが、これだけ負担しても、次々回の大規模修繕工事では資金が足りなくなる計算になるのです。このマンションの管理費は20,000円なので、いずれは毎月50,000円も住宅ローンとは別に支払わなければならなくなります。
修繕積立金の値上げには、この例のように段階的に値上げをしていく方法のほか、月額を均等に値上げする方法や、ある程度の期間ごとに一時金を負担する方法、それらを併用する方法などがあります。
どの方法を採用するかは、それぞれのマンションの規模や管理組合の方針などで決まってくると思いますが、きちんと理解しておいていただきたいのは、修繕積立金は「貯金」である、という点です。
修繕積立金という言葉の通り、将来の大規模修繕工事や設備更新などを見据えて、長期間にわたって「積立」をしていくものですので、工事を実施するときまでに必要な金額が確実に積み立てられている、ということが大切です。
そのために、毎月の修繕積立金を適正な金額で設定することが求められるわけで、その金額が安ければいいというわけでも、反対に高ければいいというわけでもないのです。
私個人的には、長期的に少し足りないぐらいの修繕積立金設定が丁度いいと思います。
そして、国交省も推奨していますが、将来的な値上げや一時金の徴収を回避するために、できるだけ早いタイミングで修繕積立金を値上げするといいでしょう。「均等積立方式」である程度の適正額まで一気に値上げしているマンションは財政面で有利になりますので、私もマンションが築浅のうちにある程度の値上げを行うことをお勧めしています。