ゼネコンに勤めていた時代、私はそこで多くの談合を見聞きし、実際に談合にかかわったこともありました。ゼネコンがいかに高い工事費を維持し、いかに利益を確保しているのかがよくわかりました。
次に、家業の塗装工事会社を継ぐことになると、今度は一転して下請けという立場です。建設業界に根づいた孫請け、ひ孫請けの構造を“下”から見ることになりました。
社会に出て数年の間に、私は談合の発注側であるゼネコンと、談合に応じる工事業者という両方の立場で、マンション工事にかかわるゼネコンや工事業者、そして管理会社が、マンションの区分所有者や管理組合を食い物にしている姿を見てきたわけです。
当時の私は、「こんなことでいいのか?」と悩み、悶々としながら談合に参加していました。もし、そのときに談合によって“おいしい”工事が何度も受注できていれば、私も業界の“悪習”にどっぷりと浸かった人生を送っていたことでしょう。そして、そんなふうに周囲の業者の談合に加担しつづけるうちに、だんだんと業界不振に陥りました。
振り返ってみれば、その経験があったからこそ、今の自分があるのだと感じます。