「一流と二流」 野村克也
阪神にSという選手がいます。
足が速い。肩が強い。運動神経が鋭い。
だれが見ても抜群の素質ですよ。
事実、阪神の歴代監督はみんなその素質に惚れて期待した。
だが、期待され続けて、すでに9年です。
守備は素晴らしいが、打撃は一向に芽が出ない。
すごい脚力を持っているのに、
最近のシーズンの盗塁数はわずか一です。
最近は、自分は「こんなもんだ」といった
発言をするようになっている。
現状への妥協、満足、限定、
これは二流のラインにとどまらせる根源です。
Sと共通するものをヤクルトのIにも感じた。
そこに共通するものは鈍感です。
何も感じない。
何も考えない。
鈍感は二流の思想とイコールです。
二流の思想では決して一流にはなれません。
野球は実に失敗の多いスポーツなのです。
三割打者が一流の目安とはいっても、
残りの七割はどうしたか。
失敗しているわけです。
パーフェクトの十割に理想を求めたら、
失敗だらけです。
恥ずかしくて顔を上げられない。
その羞恥心の感覚は人間を謙虚にせずにはおかない。
謙虚であれば、人間、いろいろなものに気づくものです。
鈍感ではいられません。
「謙虚さ」こそが人間を一流に導く根源だと思います。
是非、みなさんも主語を「自分」に置き換え、
「プロ」として、普段のお仕事にも「謙虚さ」を持ち、
より高い理想掲げ「一流」を目指して下さい。