「素直」
「法隆寺の鬼」「最後の宮大工」と称された
西岡常一棟梁の唯一の弟子として、
約20年間、師の教えを身近に受けられた小川三夫さん。
その小川さんが、弟子入り後まもなく
棟梁から言われたのが、
「これから1年間は、テレビ、ラジオ、新聞、
仕事の本、そういうものに一切目をくれてはいけない。
刃物研ぎだけをしなさい」
であったといいます。
当時22歳だった小川さんは、この師の教えを忠実に守り、
毎晩、一心不乱に刃物研ぎに励まれました。
そしてこの学びの姿勢によって、小川さんは弟子入り5年目に副棟梁になり、
29歳にして寺社建築会社「鵤(いかるが)工舎」を設立されます。
小川さんは、「素直になれない子、中途半端な知識を身につけている子」
に対して、次のような苦言を呈しています。
「そういう子は、その人間性ののぼせた感じが
なくなるくらいまで、怒り倒さなくちゃならないんです。
怒り倒して、素直にものに触れられるようにならないと。
職人というのは、技を得ようとする人は、
素直じゃなくちゃ絶対ダメ。
学ぶとは真似るということです。
素直に真似なくちゃ真似になんないわけですから」
あの王貞治さんを世界のホームランバッターに
育て上げた打撃コーチの荒川博さんも、
「習い方がうまい人とは、習う素直さがある人だ」
と、期せずして同じようなことをいわれています。
そして、王さんが自分に口答えをしたことは一度もない、と。
あの王貞治さんも、謙虚・素直・プラス思考だったんですね。
尊敬する師を持ち、その教えをまっすぐ
素直な心で受け止め、確実に実行していくこと。
そこから新たな人生がひらけてくるのだと思います。