井村和清さんは1979年1月にガンで32歳の若さでこの世を去った医師です。
ガンが発見されたのが1977年、30歳。
転移を防ぐため、右足を切断、しかしその後、ガンが肺に転移し32歳の若さで亡くなりました。
この詩は若き医師井村和清さんがガンの発病によって自分の限られた命を知ったときに、家族へ残した愛の手記です。
あたりまえのこと (井村和清)
こんなすばらしいことを、
なぜみんなは喜ばないのでしょう
あたりまえのことを
お父さんがいる、お母さんがいる
手が二本あって、足が二本ある
行きたいところへ自分で行ける
音がきこえて 声がでる
こんな幸せがあるでしょうか
しかし、誰もこれを喜ばない
あたりまえだ、と笑っている
ご飯が食べられる
夜になると眠れる、そして朝がくる
空気が腹一杯すえる
笑える 泣ける 叫ぶことができる
走りまわれる
みんなあたりまえのこと
こんなすばらしいことを
みんなは喜ばない
ありがたさを知っているのは、
それをなくした人たちだけ
なぜでしょう あたりまえ
「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」より