今回は長文です。最後まで是非読みきってください。
楽天イーグルス名誉監督の野村克也さんのお話です。
「持続力こそ 運命を開く 鍵である」
この人ほど、この言葉を体現している人はいません。
野村克也、75歳。就任球団をことごとく強豪チームに
蘇らせるその選手再生手法は「野村再生工場」と呼ばれ、
幾多の名選手を輩出してきました。
60年にわたりプロ野球界に籍を置き、
名選手でありながら名監督となった人は、
野村克也さんと世界の王貞治以外には思い当たりません。
そして、野村さんはプレイングマネージャーとして、最も有名な人です。
1973年、南海ホークスの「監督」「4番打者」「捕手」の三重責を担い、
実力では下といわれた阪急ブレーブスをプレーオフでくだし、
リーグ優勝した年に、打率.309、28本塁打、96打点をたたき出し
「MVP」を獲得し、年俸5億円を手にして、
当時の長者番付のトップになるほどの収入だったそうです。
野村さんは言います。
「野球は意外性のスポーツで弱者が強者を倒せる。
日本シリーズなどの短期決戦なら特にそうです。」
処世術がなくても、いい仕事をしていれば、必ず誰かが見ててくれる。
人間なんて感情の動物ですから、本当に一言、
胸に突き刺さることを言われると、意気に感じて、
「この人のために」と思ってやっちゃうものでしょう。
特に、スポーツマンは、その傾向が強い。
スポーツ界に「名選手、名監督にあらず」
という言葉があります。
華々しい成績を残して引退した名選手でも、
監督となって人を育て、チームを勝ちに導くことが
いかに難しいかを表わした言葉です。
では、選手と監督との違いはなにか──。
極端に言ってしまえば、
自分の持てる能力を最大限発揮するか、
人の持っている能力を最大限発揮させるか、
ではないかと思います。
18歳で「テスト生(いまでいうところの育成枠)」
としてプロ野球入りした野村克也氏は、
苦労をかけた母親を楽にさせたいという一心で努力を重ね、
本塁打王9回、打点王7回、MVP5回に輝く名選手となりました。
引退後、氏は野球解説者とりましたが、その時、
懇意にしていた評論家の草柳大蔵氏にアドバイスをされます。
「本をたくさんお読みなさい。
そして人間学を学びなさい」
草柳大蔵さんの教えを守って
人間学の本を読んでいったことが、
監督としての理念を形成するのに役立ちました。
それはひと言で言えば
「人間学なき者に指導者の資格なし」
ということです。
薦められた安岡正篤氏の著作を皮切りに
いくつもの書物から人間学を学び続けた結果、
後に請われて監督となったヤクルトスワローズの9年間で
リーグ優勝4回、日本シリーズ制覇3回という黄金時代を築き、
その後、楽天では「ぼやきの野村」になり、観客をひきつけ、
毎回テレビでは試合結果と同時に「ぼやき」が放映されました。
数々の弱小チームを強豪チームへと変身させてきた氏の足跡を思う時、
私も、常々「私が本当に社長でいいのだろうか?」思い悩み、
「人は生まれながらにして“人の長”になることはできない」と感じます。
「人間学なき者は指導者の資格なし」
という野村氏の一言は、
古来、数々の聖賢たちが目指した境地であり、
真理であると教えられます。
どんな分野でも超一流の人物に共通するのは「謙虚」さです。
威張っていない。
人間の最大の悪は「鈍感」だそうです。
超一流の素質を持っていても、思想が二流で鈍感だと
成長が止まります。
では、「鈍感」な人間と「敏感」な人間の差はどこから生まれるのでしょう?
目が見えない人は、聴覚や嗅覚などの感覚が敏感になりますし、
指先が怪我をすると、怪我をしたところが敏感になります。
つまり、ハンディキャップがあるほうがいいんです。
恵まれていると「鈍感」になります。
つまり、貧しかったり、体が弱かったり、成績が悪かったり、
決して悪いことではありません。
むしろ、その環境を与えてくれた親に対して
「感謝」の気持ちを常に忘れずに、
真摯に、跳ね返されてもあきらめず、
能力の全てを尽くして挑戦し続けることが、
運命を開く鍵であることを実感しています。
「持続力こそ 運命を開く 鍵である」
ただし「努力に即効性なし」と心得ておいたほうがいいです。