衛星劇場で放送していた中国ドラマ『美人骨〜前編:周生如故〜』全24話を視聴しました。


以下ネタバレを避けられませんのでご注意下さい。





テレビ欄の番組紹介欄でそれはもう潔く、

号泣必死のバッドエンド!くらいの勢いで結末が紹介されておりましたこちらのドラマ。

本国配信のタイミングで実は10話くらいまで追いかけていたのですが、

なにかこう…悪く言えば地味な、

良く言えば奥ゆかしい時間が淡々と流れていくばかりでなかなか気分が乗り切れず、

日本に入ってきてから改めてきちんとした日本語字幕で見ようと思っておりました。


結果、やっぱり評判通りすごく良いドラマでした!


とりあえず最終回は大号泣〜悲しい

最終回最高でした。

正直、来るべくして来た悲劇の23話でも泣きまではしなかったんです、

こうなるの分かってたから。


でも“その後”のこのドラマの最終的な収め方にこそ悲劇の最高潮があったんですね。

加えて、主人公だけではないそれぞれの登場人物のドラマの激しさ。

演員一人ひとりのお芝居の素晴らしさ。

色んなものが凝縮して達した美しい悲劇の頂点でした。


輪廻転生の続編がありますが、

これで終わっても不思議と悔いのない全24話だったなと思いました。

(続編も見ますけどね知らんぷり



主人公には、北陳の皇族でありながらその才覚や武勲、人望により宮廷から危険視され、

劉氏の姓を捨てて西州の地を守る南辰王、周生辰に任嘉伦。




皇帝、皇太后への恭順の意を示すため、生涯妻子を持たないと宣言する周生辰。

最初から追い詰められる展開で、

この状況でハッピーエンドが待ち受けているとはとてもじゃないけど思えない不安

人格者で情義に厚く武勇に優れた完璧な男を任嘉伦くんがカッコよく演じてました。


wikiってみて知ったのですが、このドラマ、蘭陵王を下敷きにしてるんですね。

言われてみれば同じようなキャラクター、展開。

なるほど〜

ストレートにそれを描くよりも匂わせるフィクションがまた心憎い。


余談ですが、ちょうどLaLaTVで任嘉伦主演の『馭鮫記』も始まっちゃったので

自分の気持ちが切り替えられるかな?と心配でしたが、

まーーーったく違う役柄、ビジュアル、演技で杞憂に終わりました。



女主には、文人や朝廷に強い影響力を持つ漼氏の令嬢、漼時宜に白鹿。




幼い頃に父親を失った悲しみから声を発することができなくなり、

周生辰の十一番目の弟子として南辰王府に迎えられるところから周生辰と漼時宜の物語は始まります。

師弟の関係からいつしか、言葉に出来ない、

してはならない感情が芽生えていく様子が切ない。


最終回の時宜の身を斬られるような苦しみ、悲しみ、

母を一族を思う心と決心、その選択にただただ泣けました。

美しい結末でした。



個人的には、宮廷の権力争いのある意味犠牲者でもあった劉子行が哀れでならなかった。




最終的にはドラマに悲劇をもたらす役回りで悪役と言えばそうですが、

幼少期から宮廷の中で寄る辺なく形ばかりの皇太子として孤独と恐怖の中で生きてきた年月が

彼の中に歪んだ野心を生み出した悲しさに迂闊にも心から同情してしまったんですよね。

(王星越の顔が良いというのと薄命バイアスがあるにはある)


そんな劉子行が純粋に想いを寄せてしまった絵の中の漼時宜。

でも実際の時宜は決して振り向いてはくれず、

自分の地位を危うくする可能性のある周生辰への嫉妬は募るばかり。

皇帝の座を得る術も、そして大切な人を自分のものにする術すらも誤った劉子行が

最後にその大切な人を永遠に失ったことも、私の中ではかなりの悲劇でした。

(バイアス効きすぎ?笑)


唯一最初から最後まで味方でいてくれた幸華公主が

南蕭へ嫁いで去って行ったあの字幕説明のみの数秒の展開ですら、

最期は一人で孤独に死にゆく劉子行への天罰のような気もして、その美しい悪役の末路にも泣けました。



また、漼時宜の母親、漼三娘役の劉威葳の凛とした威厳ある存在感や

娘を思うラストの感情表現が見事で、ここでも泣き崩れました私が。


もひとつ言うと、

散々南辰王と時宜に恩を受けたにも関わらず実は敵の手先だった楊邵。

彼の、例え敵味方に別れてもその恩義は忘れないというキャラクターがまた心憎くて最高でした。

特に、ラストの楼門への階段を登っていく時宜へ尽くした最後の礼には…やはり泣き崩れました私が。


楊邵役の何奕辰って今まで割と軽い悪役とかチンピラっぽい役のイメージがあったのですけど、

印象が変わりましたね。



他にも本当に奥深い良い役、演員さんばかりで挙げればきりがない程でした。



さて、ガラっと雰囲気の変わりそうな続編ではどんなドラマが待っているのか!

主役二人以外も出演するのかな?

その辺も楽しみです音符

(いよいよ『馭鮫記』とキャラ的に近づきそうな気配はあるが…)