2007年。Paramount/MTV. "FREEDOM WRITERS",
リチャード・ラグナヴェネーズ監督。エリン・グルーウェル&フリーダム・ライターズ原作。
ヒラリー・スワンク、イメルダ・スタウントン、パトリック・デンプシー、スコット・グレン、その他出演。
 1992年のLA暴動直後に、LA郊外にある高校に赴任した新人教師エリンと生徒たちが起こした事実にもとづいた物語。
 生徒と先生との実話にもとずく感動物語の映画は心を揺さぶられるものだが、結末のわかった予定調和の作品で自己満足に浸ることにはうんざりするという気持ちもある。「泣かせ」映画で泣くことと同じ種類の行動に過ぎない。
 この種の作品は手堅くきっちり作られたものが多いが、結局、長く記憶に残るような作品は少ない。『二十四の瞳』 が例外にあるくらいだろう。
 この映画の場合はユダヤ系資本が深く関わっていることもあり、ヒラリー・スワンクが出ていなかったら見る気が起きなかったかもしれない。
 しかし、登場人物に複雑なキャラクターが多いこともあって、『レッスン!』 と比較するとはるかに深みのある物語になっている。学校が舞台の映画が好きなだけ、という好みの問題もあるかもしれない。
    公式サイト(日本)
IMDb
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 新人国語教師エリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)。今回はホワイト・トラッシュではなく、中流階級のお嬢さまの設定。意外に先生っぽくて、ふだんの地に近い状態で演じていたのかもしれない。
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 始めは無視されていたエリンが彼女の並外れた熱意によって次第に生徒に認められてくる。教室に線を引いて、ギャングの抗争で友人が死んだ者は前に出るように言うと、ほとんどの生徒が前に出る。
 エリンは生徒全員にノートを渡し、何でも思ったことを書くように命じる。やがて生徒たちはそれを『フリーダム・ライターズ』と名づける。
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 長い教職の経験から、エリンに無駄なことをやめるよう忠告するマーガレット教科主任(『ヴェラ・ドレイク』のイメルダ・スタウントン、見てませんが)。単純な悪役キャラではなく、立場上そう言わざるを得ないだろうと思われる複雑な人格を演じて、物語に奥行きを与えていた。
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 生徒に『アンネの日記』を自腹で買い与えた(公的援助は拒否される)ら、生徒たちはアンネ・フランクの境遇を自分と同じものとして受け止める。それほどに厳しい環境の中で生きているのかと思い知らされるシーンだった。
 生徒たちは協力して資金を集め、アンネの友人だった今も健在の老婦人を呼んで話を聴く。
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 生徒をホロコーストの資料館に連れて行くためにパートを始めたエリンに、夫(パトリック・デンプシー)は始めは理解を示したが、あまりの熱中ぶりにドン引きして、ついには離婚に至る。
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 どことなく雰囲気がクリント・イーストウッドに似たエリンの父(スコット・グレン)。学生時代に公民権運動のフリーダム・ライドに参加した、という物わかりの良い人物だが、娘にはほどほどにしておけ、と大人のアドバイスをする。
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 良い映画だった。しかし、すぐ忘れ去るような気もする。
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フリーダム・ライターズ スペシャル・コレクターズ・エディション
エリンとフリーダムライターズ, 田中 奈津子
フリーダム・ライターズ
サントラ
フリーダム・ライターズ オリジナル・サウンドトラック
Erin Gruwell
Teach With Your Heart: Lessons I Learned from the Freedom Writers