2006年。NewLineCinema. "TAKE THE LEAD".
リズ・フリードランダー監督。
 アントニオ・バンデラス主演による、熱血教師VS落ちこぼれ不良高校生との、社交ダンスを通じてのふれあいを描いたドラマ。
 実在の人物ピエール・デュレインの社交ダンス・プログラムによる不良少年の教育の成果にもとづく物語で、『ステップ!ステップ!ステップ!』 というドキュメンタリー映画と同じ題材を扱ってあるが、これは話を盛り上げるためにかなり脚色されている。
 クライマックスは賞金のかかった社交ダンス大会になり、それなりに盛り上がりを見せて感動的なエンディングをむかえるが、不良少年だった生徒たちが突然ダンスがうまくなりすぎていて、結局全員がプロのダンサーだったのかと思って、ちょっとしらけた気分になった。
 ミュージック・ビデオ出身の監督らしい詰めの甘い演出で、締めくくり方にも残念な印象が残る。
 が、アントニオ・バンデラスの本来持っている少し間抜けなキャラクターが生かされて、こういう普通の人を演じるときの方が良いような気もする。正義感が強いが孤独なダンス講師という役柄も似合っている。かすかな恋らしきエピソードもあり、高校生用の教育映画として利用すれば価値があるような健全な作品になっていた。
   公式サイト〈日本)
IMDb
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兄をギャングの抗争で亡くしたロック(ロブ・ブラウン)が教師の偏見に怒って車を破壊しているのを見たピエール(A・バンデラス)は、学校に、互いを認め合う人間性を作るにはダンスが一番だといって課外授業を受け持つことになる。しかし、ピエールの予想を上回る荒れた生徒たちは彼の言うことを全く聞こうとしない。
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 生徒の前でダンスを実演して見せると、次第に興味を示しはじめる。
lead4
 ギャングの抗争がらみで仲の悪かった二人をペアにさせて、特別に訓練する。ダンスによって互いをリスペクトする感情が生まれてくる。
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 社交ダンス大会での優勝賞金が5000ドルだと知ると、生徒たちは熱心にピエールの指示を聞くようになる。しかし、ダンスに熱中しすぎて、授業は以前にもまして上の空になってしまったようにも見える。
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 生徒ひとりひとりの絶望的な家庭環境を知る。希望など持ちようがない状態だが、ピエールはそれでも希望を持てと語る。アントニオ・バンデラスが進んで役を引き受けただけに、子どもたちに無償の愛を注ぐ並外れた人物として描かれている。ただし恋には奥手で生徒たちにアドバイスを受ける。
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 最後にはロックも銃を捨てて、ダンスを選ぶ。きれいごと過ぎる物語だが、『ステップ!ステップ!ステップ!』のドラマ版としてみれば、そこそこに楽しめる。社交ダンス大会でのヒップホップでのリミックスはやり過ぎてリアリティがなかった。いっそのこと暴力的なシーンを省いて、ディズニー映画みたいにリアリティ・ゼロの健全路線に徹底したほうが良かったような気もする。
松竹
レッスン! (プレミアム・エディション〈2枚組〉)
Original Soundtrack
Take the Lead