シンデレラマン | にゃ~・しねま・ぱらだいす

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ドコにもダレにも媚を売らずに、劇場・DVDなどで鑑賞した映画の勝手な私評を。

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
シンデレラマン

【原題】Cinderella Man

【監督】ロン・ハワード

【主演】ラッセル・クロウ、レネー・ゼルウィガー

【オフィシャルサイト】http://www.movies.co.jp/cinderellaman/


大恐慌で全てを失った名ボクサーが、生活のため・家族のために再び立ち上がる。

その姿は絶望に打ちひしがれるアメリカ国民を勇気付けた-という実話を元にした

そのタイトル通りのシンデレラ・ストーリー。やっぱりどこかでアメリカ万歳臭が。


20世紀前半。

世界タイトルに挑みながらもケガで敗れたジム・ブラドックは人もうらやむ豪勢な暮らしを送っていたが、

折しの大恐慌によって財産のほとんどを失ってしまう。

日雇いの仕事さえママならない状況に右手首の骨折を圧してリングに上がっていたが、惨敗に次ぐ惨敗。

ついにはライセンスまでも剥奪されてしまう。

借金はかさみ電気までも止められるに至り、妻メイは子供たちを親戚に預けることを決断するが、ジムは

ボクシング時代のプロモーター達を訪ね、金銭を恵んでもらうべく頭を下げる。

家族を守るためには、もうプライドも意地も関係なかった。


そんなある日、マネージャーだったジョーが1試合だけの代理出場の話を持ちかけてくる。

ろくに練習もしていない状況でほとんど勝ち目のない試合だったが、ジムは奇跡的に勝利を収める。

この日からベテランボクサー・ジム・ブラドックの破竹の連続勝利が続き、ついには自身2度目の

世界タイトル戦が見えてくる。いつしか人々は彼を『シンデレラ・マン』と呼ぶようになっていた-。


アメリカは本当にボクシング大好きの国である。

野球やバスケットを題材にしたものよりも遥かに数は多いのではないだろうか。

作品自体は『リアル・ロッキー』というサクセス・ストーリーだが、ボクシングを嫌い夫の身を案じる

献身的な妻の姿が、作品に深みと家族愛というテーマを与えている。

昨今のK1やPRIDEでは家族がリング下に集い一喜一憂している姿がカメラですっぱ抜かれるが、

愛する人間が殴られたり蹴られたりする姿を間近で見る心境とは如何なものなのだろう。

家でじっと待つ劇中のレネー・ゼルウィガーのような姿が至極真っ当な気もするのだが。


ラッセル・クロウは『グラディエーター』に匹敵するハマリ役を好演。『気が優しくて力持ち』な

キレンジャーキャラを演じることにかけては他の追随を許さない。今度は是非カレーを食すシーンを。

見るべきはマネージャー役のポール・ジアマッティ。ビジネス臭い冷静さとと友情に熱い両面を

見事に熱演。試合シーンでは丹下段平並みの食いつきを見せるが、トレーナーではないはずだが。


『期待した内容で期待した方向に期待通り応えてくれる』極めてアメリカ的な映画なので本当なら

ケチの1つもつけたくはなるが、ノンフィクションなら仕方がない。真実は小説より奇なり。

どこまでもアメリカはアメリカなのであった。


【評価】★★☆☆☆