ラスト・サムライ | 映画好きが勝手に映画を評価しちゃおうブログ

ラスト・サムライ

★★☆☆☆


監督: エドワード・ズウィック
主演: トム・クルーズ
共演: 渡辺謙
    小雪

[感想]

監督初め、スタッフはよく勉強したと思う。 が、しかしおかしい点は目に余るので一通りそれについては触れさせていただく。

第一に、風景に関する問題である。 撮影はニュージーランドで行ったそうだ。だからであろう、富士山の位置がおかしい。 横浜から富士はあんな風に見えない。 まぁ、横浜の町の全景を映したシーンも合成がばればれの下手な物だったがそれはさておいて。

他にも、最初の近代軍と勝元軍の戦いが行われた森もおかしい。 場所は明治初期の日本だ。ヤシの木があったら不自然きわまりないのはみなさんも納得だろう。 更に細かく言うと、あんな森は日本にはない。 下草が少なく、垂直に伸びた木々が茂る森。 馬が、群れをなして進むことができる森。 これは、湿度が少なく、草は芝のような雑草しか生えないヨーロッパの風景である。 ロードオブザリングにも似たようなシーンがあったのを知っている方もおられるだろう。 そう、つまり、あんな戦闘シーンはまず日本ではないのである。

第二に勝元のキャラクター設定である。 なぜ、山奥のサムライの村の頭領が英語を流暢に話せるのか。 必死になって英語を学んでいる学生の諸君は、特に理解できないだろう。(私を初め) あんなことは、まずありえない。しかも、伝統を重んじる保守派に属すものが英語を話すなんて。 まだまだある。なんで山奥のサムライ頭領程度で天皇の師となり直接面会できるのか。 諸大名クラスなら話は分かる。 しかし、あの村は決してそこまでのスケールではない。 たぶん、勝元のモデルは西郷隆盛だろうが、微妙に彼からキャラクター設定をずらしたことによって、 生まれてしまったひずみだろう。

これらすべてすっ飛ばして見れば、結構良いところも見えてくる。

何より素晴らしいのは勝元に扮する渡辺謙の演技である。 さすがアカデミー賞助演男優賞にノミネートするぐらいである。 勝元の強くたくましく堅いイメージがよく出ている。

この話の中で描かれている、誇りのためには「命をも惜しまない」という武士道が、 単に「死が華」とすり替えて捉えられては欲しくない。CMで「すべてのサムライの血を引くものへ」 みたいな表現がなされているが、日本人の戦意を高揚させるものでは無いと信じたい。