
36年前、アニメ版ヤマトのテレビ放映時、自分はもう高校2年生だった。
高校生にもなって、放送の翌日はヤマトの話題で持ち切りだった。
アトム、鉄人、エイトマンの空想科学漫画で少年期を育った自分たちの世代は、中学生ぐらいで一旦アニメからは距離を置くのが、当時は自然だった。
それが「宇宙戦艦ヤマト」で「大人の鑑賞にも堪えうるアニメ」が登場し、この辺りから「アニメ=子ども向け」の常識が崩れて来たような気がする。
それと特筆すべきは「アニメが商売になる」という意識が、良くも悪くも西崎商法によって生まれたことだろう。
そんな人気の面でも収益の面でも、当時一大センセーションを巻き起こしたのが、SFアニメの金字塔「宇宙戦艦ヤマト」だったのだ。
そして「もしこれが実写になったら。」と誰もが思い描きながら、当時はまず不可能だった「夢」が、36年の時を経て、今ついに実現したのだ。
当時のファンがこれを喜ばないはずがない。
勿論、当時を知らない世代には新たな日本製SF映画として充分楽しめるだろう。
今考えうる、最高のキャスト、満足のいく水準に達したVFX、そして適任と思われる監督。これらが揃って、今出来る最高の実写版ヤマトになっていると思う。
うれしいのは山崎監督のサービス精神だ。
例えばイントロを聴いただけでウルウルしてしまう主題曲の使い方。
「波動砲発射」や「ワープ」のお約束シーンの迫力。
沖田艦長の最後のセリフ。
デスラーの声には当然「伊武雅刀」
ナレーションに「ささきいさお」
他にもアナライザーの「緒方賢一」
スターシアの「上田みゆき」と、当時のメンバーが出演。
ヤマトへのオマージュはいたるところにちりばめられている。
これだけで当時のヤマトファンは涙涙だろう。
そして冒頭の「2001年宇宙の旅」のスターゲートシーンを連想させる目玉のドアップから始まり、
ギーガーがデザインしたかのような「エイリアン」っぽいガミラスの戦艦デザイン。
「アビス」の水棲人を思わせるデスラーのCG。
「スターウォーズ」のR2D2みたいなアナライザーとブラックタイガーの突入シーン。
「スターシップトゥルーパー」みたいな地上戦。
「インデペンデンスデイ」の宇宙人っぽいガミラス星人。
わかる人にしかわからないが、やはり山崎監督、相当映画好きなんだなと、うれしくなってくる。
いじわるな見方をすれば、それらのSF映画をお手本にしただけで、それらのどれも超えてはいない。つまり水準レベルであって、衝撃的・革命的レベルにはほど遠いと言うしかない。日本映画としてはよくがんばりましたレベルだろうか。
キムタクは相変わらずキムタクだし、鼻っ柱の強い黒木メイサ=森雪は、何より松本零士の好みではないだろう。
女性的な部分はマイコに救われたか。
そういう細かい突っ込みどころは当然あるが、全体的に見れば「よくぞやってくれました」と拍手を贈っていい出来映えだと思う。
まぁ批判的な人は、もう鼻っからアニメの実写映画化に常に反対の人で、こういう先入観のある人は、実写化自体に反対なのだから、どんなに映画の出来がよかろうと満足はしないのだから仕方ない。
いつも口が酸っぱくなるぐらい言って来た事だが「映画は映画」原作と比べて評価するのは全くナンセンスな事だ。
映画としてよく出来ていれば、少々の不満は目をつぶってあげるべきだろう。
現にアニメ版ヤマトを観た事のない、先入観の全くない息子は、「面白かった。友達にも勧める。」と言ってくれた。