波乱のシーズンを締めくくる第90回アカデミー賞授賞式が、現地時間の3月4日(日)、LAのコダックシアターで開催されました。
作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞部門を制したのは、メキシコの異才ギレルモ・デル・トロ監督の「シェイプ・オブ・ウォーター」。
やりました!デル・トロ監督!! おめでとうございます!
「シェイプ・オブ・ウォーター」は、1962年代の冷戦下のアメリカを舞台に、話すことのできない女性とアマゾンから連れてこられたクリーチャーとの愛を描くファンタジー。
社会から疎外されたものに優しいまなざしを注くデル・トロ監督の思想、美学、技術、映画愛などすべてが詰まった集大成です。
この作品でオスカー像を手に出来て本当によかった!
主演女優賞は、誰もが間違いがないと思っていた「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドが『ファーゴ』(96年)以来、2度目の受賞!
会場にいる女性映画関係社を立つように煽り、女性の団結を呼びかけたスピーチは、名スピーチとしてアカデミー史に残るでしょう。
個人的にはゲイリー・オールドマンの主演男優賞受賞も嬉しかったです。
『裏切りのサーカス』(12年)でもノミネートされましたが、そのキャリアや実力を考えると映画賞とは縁遠いといえるゲイリーですが、「ウインストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」で悲願の受賞となりました!
メイクアップ賞もゲイリーをチャーチルそっくりに作り上げた特殊メークアーティストの辻一弘とそのチームに!
辻さんは、3度目のノミネートで初の受賞。
最近では、ハリウッドを離れて現代美術の道で活動していた辻さんですが、今回は、ゲイリー・オールドマンから直々にメールをもらい「あながた(メークの)仕事をしてくれるなら、この役を引き受けるけれど、あなたにやってもらえないなら、この作品は諦める」といったそう。その言葉に心動かされ、辻さんはこの仕事を引き受けたそうですが、映画におけるチャーチル=ゲイリーの表情は、つくりものとは思えないリアルさ!
「ダンケルク」は、音響編集賞、録音賞、編集賞の技術系部門で受賞。
技術賞では、撮影賞が巨匠ロジャー・ディーキンスの手に渡ったのが嬉しい。
14度目にして初受賞! これまでとっていなかったなんてアカデミー賞の謎のひとつですね!
●以下、全リストです。
【作品賞】
★「シェイプ・オブ・ウォーター」
「スリー・ビルボード」
「ダンケルク」
「君の名前で僕を呼んで」
「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
「ゲット・アウト」
「レディ・バード」
「ファントム・スレッド」
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」
【監督賞】
★ギレルモ・デル・トロ 「シェイプ・オブ・ウォーター」
クリストファー・ノーラン 「ダンケルク」
グレタ・ガーウィグ 「レディ・バード」
ポール・トーマス・アンダーソン 「ファントム・スレッド」
ジョーダン・ビール 「ゲット・アウト」
【外国語映画賞】
「ザ・スクエア 思いやりの聖域」(スウェーデン)
★「ナチュラルウーマン」(チリ)
「The Insult 」(レバノン)
「ラブレス」(ロシア)
「心と体と」 (ハンガリー)
【主演男優賞】
ダニエル・カルルヤ 「ゲット・アウト」
ダニエル・デイ=ルイス 「ファントム・スレッド」
★ゲイリー・オールドマン 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
デンゼル・ワシントン 「Roman J. israel,Esq」(原題)
ティモシー・シャラメ 「君の名前で僕を呼んで」
【主演女優賞】
サリー・ホーキンス 「シェイプ・オブ・ウォーター」
マーゴット・ロビー 「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」
シアーシャ・ローナン 「レディ・バード」
メリル・ストリープ 「ペンダゴン・ペーパーズ/最高機密文書」
★フランシス・マクドーマンド 「スリー・ビルボード」
【助演男優賞】
ウィレム・デフォー 「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」
リチャード・ジェンキンス 「シェイプ・オブ・ウォーター」
クリストファー・プラマー 「ゲティ家の身代金」
★サム・ロックウェル 「スリー・ビルボード」
ウディ・ハレルソン 「スリー・ビルボード」
【助演女優賞】
メアリー・J・ブライジ 「マッドバウンド 哀しい友情」
オクタヴィア・スペンサー 「シェイプ・オブ・ウォーター」
★アリソン・ジャネイ 「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」
ローリー・メトカーフ 「レディ・バード」
レスリー・マーヴィル「ファントム・スレッド」
【オリジナル脚本賞】
「ビック・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」 エミリー・V・ゴードン、クメイル・ナンジニア
★「ゲット・アウト」 ジョーダン・ピール
「シェイプ・オブ・ウォーター」 ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー
「スリー・ビルボード」マーティン・マクドナー
「レディ・バード」 グレタ・ガーウィグ
【脚色賞】
★「君の名前で僕を呼んで」 ジェームス・アイボリー
「モリーズ・ゲーム」アーロン・ソーキン
「The Disaster Artist」 マイケル・H・ウェーバー他
「LOGAN/ローガン」 マイケル・グリーン、スコット・フランク、ジェームズ・マンゴールド
「マッドバウンド 哀しき友情」 ディー・リーズ、ヴァージル・ウィリアムズ
【撮影賞】
★「ブレードランナー2049 」 ロジャー・ディーキンス
「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」 ブルーノ・デボネル
「ダンケルク」ホイテ・ヴァン・ホイテマ
「Mudbound」(原題) レイチェル・モリソン
「シェイプ・オブ・ウォーター」 ダン・ロスセン
【美術賞/プロダクション・デザイン】
「ブレードランナー2049」
「ダンケルク」
「美女と野獣」
★「シェイプ・オブ・ウォーター」
「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
【衣装賞】
「美女と野獣」 ジャクリーン・デュラン
「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」ジャクリーン・デュラン
★「ファントム・スレッド」(原題) マーク・ブリッジス
「ヴィクトリア&アブドゥル」コンスコラータ・ボイル
「シェイプ・オブ・ウォーター」ルイス・セキエラ
【ヘア&メイクアップ賞】
「ワンダー」(原題)
★「ウィストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
「ヴィクトリア&アブドゥル」
【音響編集賞/サウンド・エディティング】
「ベイビー・ドライバー」
★「ダンケルク」
「ブレードランナー2049」
「シェイプ・オブ・ウォーター」
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」
【録音賞/サウンド・ミキシング】
「ベイビー・ドライバー」
「シェイプ・オブ・ウォーター」
★「ダンケルク」
「ブレードランナー2049」
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」
【オリジナル・スコア】
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」
「スリー・ビルボード」
★「シェイプ・オブ・ウォーター」アレクサンドル・デスプラ
「ダンケルク」
「ファントム・スレッド」
【視覚効果賞】
★「ブレードランナー2049」
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」
「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」
「キングコング/髑髏島の巨神」
【編集賞】
★「ダンケルク」
「ベイビー・ドライバー」
「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」
「スリー・ビルボード」
「シェイプ・オブ・ウォーター」
【オリジナルソング】
★“リメンバー・ミー” 「リメンバー・ミー」
“ミステリー・オブ・ラブ” 「君の名前で僕を呼んで」
“mighty river” 「マッドバウンド 哀しき友情」
“Stand up for Something” 「Marshall」
“This is Me” 「ザ・グレイティスト・ショーマン」
【長編アニメーション】
★「リメンバー・ミー」
「ボス・ベイビー」
「The Breadwinner」
「Ferdinand」
「Loving Vincent」
【短編アニメーション】
★「Dear Basketball 」
「Gorden Party」
「Lou」
「Negative Space」
「Revolting Rhymes」
【実写短編映画】
「DeKalb Elementary」
「The Eleven O'Clock」
「My Nephew Emmett」
★「The Silent Child」
「Watu Wote/All of Us」
【長編ドキュメンタリー】
「Abacus:Small Enough to Jail」
「顔たち、ところどころ」
★「イカロス」
「Last Men in Aleppo」
「Strong Island」