今年のアカデミー賞でも注目されたメキシコの御三家といえば、
アルフォンソ・キュアロン、ギレルモ・デル・トロ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの3監督。
去年のカンヌ映画祭に出席したときのメキシコ軍団。
左から、キュアロン、デル・トロ、ガエル・ガルシア・ベルナル、イニャリトゥ。
彼らの中でも最も若く、才能もおそらく最もあるのがギレルモ・デル・トロです。
デル・トロくんは、見かけはクマちゃんのようですが、まさに鬼才。
なかなか、おどろおどろしい、ねちっこい映画を撮ります。
ハリウッドでも、『ヘル・ボーイ』なども手がけていますが、
個人的には、メキシコで撮った『クロノス』やペドロ・アルモドバル兄弟がプロデユースし、スペインで撮影した『デビルズ・バッグボーン』が断然好みです。
新作の『パンズ・ラビリンス』は、映像、物語など総合的にいえば彼の最高傑作といえるかもしれません。
去年のカンヌ映画祭でも絶賛されましたが、今年のアカデミー賞では、主要部門にこそからみませんでしたが、
3部門を受賞(『バベル』より多い!)しています。
物語は1944年、フランコ政権下のスペイン。
父を亡くし、母親の再婚相手に馴染めない孤独な少女オフェリアを主人公とした、ダークで美しいファンタジーです。
もともと、特殊メークなどの分野から入ったデル・トロくんの美術は、素晴らしく、
今年の5月にインタビューしたときには、彼の物語だけでなく、美術、カラースキームなどのアイデアを書き留めたネタ帳を見せてくれました。
クマちゃんのような容姿ですが、とてもマメなようです。
「映画は、ストーリーだけで語るのではなく、映像も音楽も含めて語るもの」というデル・トロくん。
『パンズ・ラビリンス』も映画ならではの、映像の力を感じさせられる作品。
この秋のイチオシです!