12月下旬より、渋谷のシネマライズで上映しているドキュメンタリー『ダーウィンの悪夢』。

新春から“悪夢”なんてちょっとシニカルですが、その想像を絶する内容に、お正月ボケもふっとぶこと間違いなしの、キョーレツな映画です。



アフリカにある世界第二の大きさを誇る淡水湖ヴィクトリア湖。何世紀ほど前に、間違って(?)放たれた肉食の魚ナイルパーチが、ものすごい勢いで繁殖、それまで湖に住んでいた多種の魚を食い尽くしてしまい、一帯の自然が壊滅状態にあるということでも有名な湖です。

この映画は、このナイルパーチの加工、輸出で栄えている、タンザニアにあるヴィクトリア湖畔の町ムワンザの街をルポすることで、ドラック、エイズ、売春などアフリカの闇にスポットライトを当てています。


ナイルバーチの主な輸出先は、イギリスやEU諸国&日本らしいですが、いわゆる先進国が、いかに病んだアフリカを食い物にしているか。その悪夢的な連鎖反応に批判的な視線が投げかけられます。

魚の輸出用のチャーター飛行機が、武器密輸の隠れ蓑になっていらしいことも揶揄されますが、そのあたりの突っ込みは中途半端で消化不良。が、それを差し引いても、衝撃的な事実をスクリーンで暴くことで、この映画の意義の大半は、達成されたといってもいいでしょう。


 実は、この数ヶ月前、この試写状を観たとき、どこかで聞いたことがある話だなと思っていたら、

6,7年前、ケニアに仕事で行ったとき、オフタイムを利用してヴィクトリア湖に釣りに出かけたとき、この恐るべき肉食魚ナイルパーチの話は聞いていたのでした。

というか、ヴィクトリア湖では、ナイルパーチ釣りが(他に魚はいないのだけれど…)一種のアトラクションになっていたのです。

私も、ドデカイナイルパーチを吊り上げ、なんでもそれがベスト10に入る大きさなのだとかで、ヘミングウェイのように写真を撮られ、ご丁寧に釣ったナイルパーチを料理してもらって食して帰ってきました。

 なまずやサメのような大味の白身魚で、魚にうるさい日本人からすると、ディープフライにするくらいしか、食べよがない、つまり、あまり美味しい魚ではないのですが。


 当時は、のほほんとしたあの湖畔の、一方で、こんな現実が繰り広げられていたとは夢にも思いませんでした。


この映画を観ていたら、ナイルパーチ釣りも、まったく別の印象、モチベーションになっていたことと思います。