突然ですが、ウィル・フェレルってご存知ですか?
ニコール・キッドマン主演の『奥様は魔女』やウディ・アレンの『メリンダとメリンダ』、ユマ・サーマン出演のブロードウェイミュージカルの映画化『プロデユーサーズ』などに出ていたアメリカの大物コメディ俳優です。
 
 たぶん、日本には来日したことがないと思います(あったらごめんなさい)
というのも、アメリカのコメディ俳優は、日本では、なかなかウケないため、来日が少ないのです。ウケないことだけが理由ではなく、
“日本では、ウケないーーつまりあんまり取材も入らず、宣伝効果が少ないにも関わらず、本国では大物なために、プライベートジェットを用意しなければならないだとか、雑誌は表紙にならなければインタビューは受けないだとか、
コストパフォーマンスが悪いため”というのが、本当のところの理由です。

 このテの俳優さんは、ウィル・フェレル以外にジム・キャリー、アダム・サンドラーなどがいます。

 で、今回、ロンドンに来たのは、このウィル・フェレル主演の映画『ストレンジャー・ザン・フィクション』 の評判がいいため、彼に単独インタビューをするためです。
なんか、米国のソニーは、すでにアカデミー賞も視野に入れているとか。

 実際、この映画、とても出来がいいです!
ウィル・フェレル演じるのは、とても几帳面で一般に言うとあまり面白味がない独身男ハロルド・クリック。彼はあるとき、彼の行動をいちいち正確に解説する“英国なまりの声”がすることに気づくのですが、あるとき、そのうるさい声が、彼がもう少しで死ぬことを予言します。
 そこで、精神科に行くと、「文学的な問題」といわれ、文学の大学教授(ダスティン・ホフマン)を紹介される。教授の元を訪ねると、彼の部屋に流れていたTVから聞こえてきた、作家カレン(エマ・トンプソン)の声こそ、あの声!彼は、スランプに陥っている人気作家である彼女が執筆中の新作の主人公だったというワケです。ハロルドは、彼女を探し出し、“結末”を変えてもらおうとする……。

 ちょっと『ジョン・マルコビッチの穴』を彷彿とさせる奇想天外なお話です。
『ジョン~』は、いまや人気脚本家となったチャーリー・カウフマンの脚本ですが、これは、まだ20代の新進脚本家が手がけています。製作側も、第二のカウフマンにしたいのではと思われますが、とてもいい脚本です。
監督は『チョコレート』や『ネバーランド』のマーク・フォスター。
ハロルドが、“思い切って”恋に落ちる、“彼を嫌っている”カフェの女性店長さんを、マギー・ギレンホールが演じてます。

 なんかだか、アカデミー賞にかかりそうな、メンツですね。
ウィル・フェレルも、新境地を切り開いたというのにふさわしい適役です。これで、日本でも知名度が上がればいいのですが。