サンダーバードは1965年に英国で放映された特撮TVドラマ。スーパーマリオネーションと呼ばれる人形劇である。映像のクオリティは驚異的で、数々のSF映画や特撮に影響を与えてきた。日本では1966年にNHKで放映。以後、繰り返し再放送されている。僕も子供の頃、夢中になって観ていた。そのサンダーバードが当時と同じ手法でリメイクされた。資金はクラウドファウンディングで集めたらしい。
本作は3本の短編からなる。その原作となったのは60年代に発売された音声ドラマのレコード盤である。ビデオが普及していない時代にはこういうものがあったのだ。
エピソードは以下の3本。「サンダーバード登場」「雪男の恐怖」「大豪邸、襲撃」
3本共、レディ・ペネロープの出番が多いのが特徴で、彼女が全体を通じての主役ともいえる。ちなみにペネロープの声を演じたのは、かつては黒柳徹子であったが、今回は満島ひかりである。
さて数分のメイキング映像の後、いよいよあの「5,4,・・」のカウントダウンと共に壮大なマーチ風のテーマ曲がスタートすると、思わず涙が出そうになるほどの感激を味わった。登場人物は英国貴族のレディ・ペネロープと執事で元金庫破りのパーカー。そして太平洋上の某島にある秘密基地には、ジェフ・トレーシーと5人の息子たち。
ジェフが普段寛いでいるサロンの壁には5人の息子のフォトパネルが掛かっている。ちなみにジェフはアートの趣味があり、浮世絵を好んでいることも有名な話である。
今ならCGでお手軽にやれてしまうシーンも、当時はミニチュアを用いた特撮。だが、その方が何故かリアルな感じがする。1号から5号のサンダーバードメカ、FAB-1と呼ばれるペネロープのピンクのロールスロイスの出番もたくさんある。
今回の3つのエピソードだが、話の面白さという点では残念ながら不満である。特にサンダーバードの真骨頂である救助メカの活躍がないのが寂しい。番外編みたいな位置づけのエピソードだから仕方ないのだが・・
平日の昼間にも関わらず、劇場はかなり埋まっていた。上映館が少ないこともある。そして予想通り観客はジジイが多い(笑)。皆さん、かつてTV放送を夢中で観たり、イマイのプラモデルを作ったりした世代なのだろう。
ところで本編の後に「ネビュラ75」という同じく人形劇のSFスペースドラマの短編が上映される。こちらの方は残念ながら面白いとは言い兼ねるが・・