オススメ最新作(※ネタバレあり)
やばい・・・!
面白い・・・!
妖怪譚×金田一耕助サスペンスとでも言い表せますでしょうか。
予告で興味を惹かれ観たいとは思ってましたが、まさかここまでとは。
アニメ作品で鬼太郎で、PG-12です…!
製作者の本気を感じます。
鬼太郎誕生。
そして、傑作誕生。
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
(2023)
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■『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』あらすじ
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廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。
目玉おやじは、70年前にこの村で起こった出来事を想い出していた。
あの男との出会い、そして二人が立ち向かった運命について… 昭和31年―日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。
血液銀行に勤める水木は当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。
龍賀一族では、時貞の跡継ぎについて醜い争いが始まっていた。
そんな中、村の神社にて一族の一人が惨殺される。
それは恐ろしい怪奇の連鎖の本当の始まりだった。
鬼太郎の父たちの出会いと運命、圧倒的絶望の中で二人が見たものは───。
(東映公式サイトより)
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■全体評
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口コミで評価が広がり、驚異の興行を見せている作品です。
ここにきて2023年を代表する一作が出てきましたね。
人気ゆえにどこいってもパンフが買えないんです(笑)
・金田一耕助や京極夏彦作品のような日本古来のおどろおどろしさを湛えたサスペンス
・人間社会や人間そのものへの痛烈な風刺
・その一方で誰かと誰かが繋がることの切なさや温かさを描いたドラマ
・妖怪×アクション
ちょっと考えただけでも、これだけ推しポイントが頭に浮かぶ作品。
少しですが、語っていきたいと思います。
本作、『ゲゲゲの鬼太郎』のエピソード0にあたる訳ですが、目玉の親父があの姿になる前を描いてます。
もともと鬼太郎には父親がふたりいたというのが原作の設定ですが、その詳細は原作でも描かれてなかったそうです。
今回はオリジナル作品としてそこを描き込んでるわけですが、「これ水木しげる氏が描いたのでは?」と思える世界観とストーリーに、最初から最後まで魅入ってしまいました。
冒頭にも書いた通り、本作の世界観は昔の金田一耕助シリーズのそれと近いものがあります。
閉ざされた村、謎めいた一族、陰鬱な因習etc.
今年は京極夏彦の百鬼夜行シリーズ最新作『鵼の碑』が出版され、久しぶりにあのおどろおどろしいゾクゾク感を感じることができるのか!と期待したものの、そこは期待したほどではなく。
その期待値を少し回収してくれたのが映画『ミステリと言う勿れ』だったのですが、本作が見事に完全回収してくれました!
いやー、舞台となる哭倉村と一族とその因習がね、まぁ不気味!w
雰囲気満点です。
その中で連続殺人が起きるのですが、その辺りの描写もPG-12らしさ満点でエグみありありでされています。
その辺りも大人がこの映画に惹き込まれる一要因かもしれません。
あとは、原作の鬼太郎シリーズって、「笑うセぇるすマン」シリーズと通じるものがあって、当時の人間社会への痛烈な皮肉・風刺が込められた作品ということです。
本作も、冒頭からそれらのスタンスが描かれています。
主人公のひとりである水木が哭倉村に向かう電車の中で、おそらく喘息か何かの疾患や症状が出ている少女がいるにも関わらず、周りの大人は平気でタバコを吸っている描写があります。
主人公含め、誰一人そこを気遣おうとはしない。
そう、この映画に出てくる大人は一様に優しくないのです。
「紫煙で目の前が曇っているほどの車内」という画に対し、明らかに少女の咳の音を明確に聞かせるようにしてきており、製作者の意図を感じずにはいられません。
映画のオチも「一番酷いのは人間でした」という形をとっており、冒頭から一貫したものとなっております。
そういった批判っぽい要素もあるのですが、キャラクターものとしても良いのが本作の魅力。
目玉の親父がねー、まぁ格好いいのよっ!!
声もぴったり。
『鬼滅の刃』アニメシリーズで鬼舞辻無惨を演じてる方ですね。
キャラクターが違うだけでこんな印象違うものなんですね。
妖怪らしいおどろおどろしい面と、妖怪らしくないのんびりした面を余すところなく表現されていました。
他の方のレビューを読むと、面白いと言ってる人が多いので高評価がついてますが、その中でも「泣けたor泣けはしなかった」が結構分かれてる気がしました。
この分かれ道───これは人生を共にする人(親・パートナー・子供etc.)がいるかいないかで大きく差が出そうな気がします。
映画の98%までは「金田一耕助調のサスペンス」「妖怪もの」「アクション」などでぐいぐい引っ張っておいて、最後の2%(エンドロール後含む)でいきなり泣かせてきます。
私、エンドロール後の最後の数分で見事に泣かされました。
泣かされるというか、映画の側からすると泣かせるつもりはきっとないと思うんですが、自分の中の一人の親としての気持ち、哀しき運命のもとに産まれた赤子、否、鬼子への同情・憐憫といった気持ちからどんな子であろうと小さくか弱い同族に対する愛着みたいなもの、それら全てが一瞬にして刺激され、気づいたら泣いていたというのが正確かもしれません。
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■予告編
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