オススメ新作(※ネタバレあり)
子供の世界は子供にしか知り得ない。
否、子供ですら知り得ない。
尚の事、大人は断片的な部分しか知り得ない。
そんなことを痛感させられる作品でした。
『怪物』
(2023)
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■全体評価
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非常に親としては怖くなる映画でもありましたね…。
子供について、成長につれ見えなくなることの方が多くなるという怖さ。
それにしてもポスタービジュアルは正しいですね。
安藤サクラ・瑛太・田中裕子ら圧倒的な芸達者を前にしながら、今作の主役は湊と依里の子供2人が主役であることを製作陣が分かってる感じがします。
(田中裕子演じる校長の不気味さがすごかった…。)
演じる黒川くんと柊木くん、うますぎる…。
本作はまったく前情報が無いままに観に行ったので、核となるテーマというか設定を知らない状態でのファーストコンタクトになりました。
(カンヌでクイア・パルム賞を獲るって、どゆことだろう?と思ってましたが、本編観て「なるほど」、と)
最近、宣伝なしという宣伝戦略や、あまり情報を出さないことの成功例が増えてますが、やはり前情報少なく観るのはいいですねー。
新鮮な驚きを映画本編の鑑賞で得られるのは、何物にも変えがたい喜びがあります。
描くテーマに関しては、アイデアとしてははこれまでもあるものだと思うんですが、坂本裕二の構成力、そして彼の視点での描くポイントと描かないポイント、言葉選びとキャスト陣の迫力で新しいものを観た感じがします。
性の目覚めは子供の頃のことが多いでしょうし、よく考えたらこの時期にフォーカスをあてて考えたり寄り添っていくべきことかもしれません。
そういう意味でそのフォーカスをあてた映画って、日本ではまだまだ少ないですよね。そう考えると非常に意義深い作品だなと感じます。
映画として、『羅生門』『バンテージポイント』などの視点を変えて何度も同じ事を描くという仕掛けもされており、映画好きとしてはニヤリとしてしまいます。
あと、映画のラスト、嵐の後の描写は結構いろんな考察が走ってるみたいですね。
個人的には、最後のシーンを観ながら実際ふたりがどうなったかは全然意識になく、ひたすら最後の数分の温かみのある映像にふたりが楽しそうで、そして幸せそうであるように感じ、少しでも救われてよかったな、と感覚的に捉えてました。
別で観た友人から「最後あの2人は死んでるのか生きてるのか」という考察合戦に誘われ、なるほどそういう見方があるのかと知った次第です。
考察してみると面白いですね。
そういった曖昧な余韻も含め、観終わった後がさらに面白い映画だなと思います。
いろんな人がいろんな捉え方しており、議論したり意見交換し甲斐のある一作です。
ちなみにワタクシ、是枝監督作品って基本ハマらないことが多く。。。
それでもハマったのは『海街diary』と本作なので、原作があったり他の人が書いた脚本だったりetc. 是枝さんと他の人のコラボした作品の方(是枝味が比較的薄めの作品)がやはり私は好きみたいです…m(_ _)m
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■『怪物』あらすじ
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大きな湖のある郊外の町。
息子を愛するシングルマザー、
生徒思いの学校教師、
そして無邪気な子供たち。
それは、
よくある子供同士のケンカに見えた。
しかし、彼らの食い違う主張は
次第に社会やメディアを巻き込み、
大事になっていく。
そしてある嵐の朝、
子供たちは忽然と姿を消した───。
(映画『怪物』公式サイトより)
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■予告編
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