オススメ新作(※ネタバレなし)
こーれーは、なかなかクセになる作品です。
なんだろう、この酢コンブ感。
鑑賞中や直後はまぁまぁの味なのに、じわじわと味が強くなってくるこの観了感。
まさに酢コンブ映画です。
『TAR』
[邦題:TAR / ター]
(2023)
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■全体評
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先に申し上げますが、下記、全然考察してませんw
この作品のこと深掘る記事にはなっていませんので悪しからず。
ケイト・ブランシェット、圧巻。
これは確かに賞レースものです。
ずっと彼女の視点でTARを描き出してるので、全編通して出ずっぱり。
彼女の緊張感や張り詰めた何かが表面張力いっぱいになったコップから溢れる瞬間───一心不乱の表情で舞台に上がり演者を勢いで突き飛ばすシーンは強烈で、一瞬笑いそうになりました。それくらいインパクトあったw
長回しの多さも手伝って、変な緊張感の続く映画ですが、映画全体で何を言いたいのか、何が起こったのかなど明確に答えをくれる映画ではありません。
抽象化したような演出も多いです。
最近でいうと「君たちはどう生きるか」と似た観了感ですが、私は俄然こっちの考察に惹かれます。
「彼女の主観ではこう視えるような出来事が起こった」ということを前提に映画が進んでいきます。
そういう雰囲気を楽しんだり堪能したり、抽象→具合にする楽しみを見出す作品って、ハマる作品が見つかると「自分のもの感」が出て、好きなんです。
所謂大衆娯楽や大作系は「共感」で広がっていく楽しみ方に対し、前述のような作品はどんどん中に「閉じて」いく楽しみ方。
ひとりほくそ笑んでニヤリとしながら脳内で堪能する感じとでもいいましょうか。
メトロノームの音だけでサスペンス感出しちゃうんだから、監督と主演女優の共犯関係にまんまと観客の脳みそは弄ばれているといっても過言ではありません。
栄枯盛衰を経て、最後にオタクのイベント的なものなのか、シネマコンサートみたいのものなのか、クラシックの最高峰とは違う畑で、肩の荷が降りたように自然な表情でいるTARを観ることですんなりエンドロールを迎えることができました。
…やっぱりもっかい観たいなこの作品w
「観ろぉぉぉぉっ!もっかい観ろぉぉぉ!」
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■『TAR / ター』あらすじ
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ドイツの有名オーケストラで、女性としてはじめて首席指揮者に任命されたリディア・ター。
天才的能力とたぐいまれなプロデュース力で、その地位を築いた彼女だったが、いまはマーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャーと、新曲の創作に苦しんでいた。
そんなある時、かつて彼女が指導した若手指揮者の訃報が入り、ある疑惑をかけられたターは追い詰められていく。
(映画.comより)
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■予告編
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