【サバカン SABAKAN】 | シネフィル倶楽部

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洋邦ジャンル問わず最新作から過去の名作まで色んな作品ついて、ライトな感想や様々な解釈・評論を掲載orつらつらと私「どい」こと井戸陽介の感想を書く場にしたいと思います!観ようと思ってる作品、観たい過去の作品を探す時とかの参考書みたいに活用してもらえればと♪

NEWオススメ最新作(※ネタバレなし)

 

『またね』

 

これがこんなにもあったかい言葉だったんだなぁと思わせてくれる作品です。

 

風情ある長崎の景色と共に、ふたりの少年のひと夏の交流を描いた作品。

 

めっちゃくちゃオススメ!

 

『サバカン SABAKAN』

(2022)

 

夏の終わりに観るのに相応しい一作でした。

 

少年たちが主人公でロードムービーっぽい要素があるので『スタンド・バイ・ミー』っぽさはあるんですが、その観了感とは違うこの温かさと切なさがあります。

 

 

スティーブン・キングのジュブナイルものは、どこか子供時代特有の怖さを利用して青春を浮き彫りにしていますが、今作はもう少し子供同士のつながりをベースに描き出そうとしている印象を受けました。

 

個人的には確実に今年のTOP10に入る作品です。

 

 

知名度で言うと誰もが知ってる!レベルではないと思うので、あらすじからご紹介していきたいと思います!

 

そして多くの人に本作を知ってもらいたい!

 

「エンドロールの中締めも

エンドロール後も素晴らしかー♪」

 

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■『サバカン SABAKAN』あらすじ

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1986年の長崎

 

夫婦喧嘩は多いが愛情深い両親と弟と暮らす久田は、斉藤由貴とキン肉マン消しゴムが大好きな小学5年生。

 

そんな久田は、家が貧しくクラスメートから避けられている竹本と、ひょんなことから“イルカを見るため”にブーメラン島を目指すことに。

 

 

海で溺れかけ、ヤンキーに絡まれ、散々な目に遭う。この冒険をきっかけに二人の友情が深まる中、別れを予感させる悲しい事件が起こってしまう・・・。

 

 

(映画『サバカン SABAKAN』公式サイトより)

 

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■全体評

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冒頭にも書きましたが、主人公を大いなる冒険に誘うタケちゃんが、その冒険の果てに放った「またね」に涙腺崩壊でした。

 

勇気を振り絞って言ったであろうことがありありと伝わってきて、それまで泣くような(泣かせるような)ところは全然ないのに、その一言がきっかけで涙腺ダム崩壊。

 

 

またタケちゃんを演じた子がうまいのよねぇ。

ぶっきらぼうな感じと、大人びた感じ、年相応な感じなどを見事に表現していて妙に発する言葉がささってきます。

 

 

夏を舞台に子供を中心に据えた作品には、古今東西多くの名作があります。

 

『ジュブナイル』

『子供はわかってあげない』

『ウォルター少年と夏の休日』

『スタンドバイミー』

『ラストサマーウォーズ』

『サマーウォーズ』

 

どれも好きな作品ですが、それらの中でも本作はだいぶ上位でした。

 

 

ちなみに高校生以上の子供が登場人物だともう少し突き放した目線、というか近い目線の範疇で観られるんですが、中学生以下の場合は社会的に裁量が少ない分、もどかしさや切なさが倍増するような気がします。

 

そんな中で主人公家族の気楽さや雑さ、懐の深さは観ていてホッとするものがあります。

 

 

必ずしも全てを肯定する訳でも自分がああいう家庭像を作りたいわけでもないですが、それでも悪くないよね、と肯定できるのはちゃんと家庭で責任もって子供を育てる!という意志を両親から感じるからでしょうか。

 

とかの小難しいことは抜きにしても、尾野真千子と竹原ピストルのコラボがいいのよっ!

 

 

本当の夫婦みたいな空気感を醸し出しており、映画のコミカルな部分とシビアな部分を担っています。

 

あと本作は音楽も素晴らしくて、物語と登場人物に寄り添いきってるなぁと思ったら、なんと大島ミチルさん

 

ベテランによる名スコアでしたか、と納得♪

 

 

ベテランといえば、主人公ふたりを演じたみずみずしい若手キャストを大ベテランの役者たちが支えているのも本作の魅力の一つです^^

 

 

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■あとがき

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大人になってからの「」は学生までの「」とは違う。

 

そんな感覚を私は持っています。

 

夏休みはないし、出社するにしても暑い中を電車乗ってコンクリートジャングルに出向かないといけないし、暑さがなんのメリットももたらしてくれない感(笑)

 

そんな社会人にとって、心に潤いをもたらしてくれるというか昔の「」を思い出させてくれる素敵な作品です。

 

 

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■予告編

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