オススメ最新作(※ネタバレなし)
この映画を観ている最中さまざまな言葉が浮かびました。
「ブラックユーモア」
「ダメな男の成長譚」
「裏稼業のアクション」
「家族の話」
「サスペンススリラー」
「恋愛」
「ユルめのギャグテイスト」
「男同士の友情と嫉妬」
「ヒューマンドラマ」
本作には、上記の言葉の通りたくさんの要素が詰まってます。
たくさんの要素がある映画はすべてが中途半端になるリスクがあります。
しかし裏を返せばそれらが絶妙なバランスで調合された時、なんとも言えない旨味が出てきます。
この映画の味は、特に映画好きにはオススメしたいです。
『カメラを止めるな!』に続き、またまた低予算で無名の俳優や監督により産み出された佳作に出会えた気持ちです。
『メランコリック』
(2019)
世間的な知名度で言えば、決して高いとは言えない本作。
いや、まだ知名度が低いだけで先週の公開以降、じわじわと来ると思います。
まぁ、とにかくそういった雰囲気からか、今回観てみて「掘り出し物感」がありました。
「俺、この映画の存在とこの映画が良い事知ってるぅ~( ̄▽ ̄)」っていう優越感ね(笑)
(これだけたくさんの場に出品してる作品で、且つメディアに取り上げられた後なので映画ファンとしてはちと恥ずかしいんですけどね…w)
そんな優越感を感じてしまうほど、面白かった。
「イイもの観ちゃったー!皆に薦めよ~♪」って感じで、今回は勢いで筆をとります。
まずはあまり知られていない本作のあらすじをご一読いただければと思います(^ ^)
「お風呂、入ってく?」
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■『メランコリック』あらすじ
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バイトを始めた銭湯は、深夜に風呂場で人を殺していた───!?
名門大学を卒業後、うだつの上がらぬ生活を送っていた主人公・和彦。
ある夜たまたま訪れた銭湯で高校の同級生・百合と出会ったのをきっかけに、その銭湯で働くこととなる。
そして和彦は、その銭湯が閉店後の深夜、風呂場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知る。
そして同僚の松本は殺し屋であることが明らかになり…。
(映画『メランコリック』公式サイトより)
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■全体評
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本作を包む全体的な不思議というか絶妙なバランスの空気感。
その絶妙な空気感の正体は、この妙に現実感の薄い展開を、とっても現実味溢れるトーンで描いているというそのズレにあるんじゃないかと思います。
すんごい不思議なんですが、主人公は銭湯での裏稼業を知った後もすんなり受け入れて馴染んでいくんです。
それは主人公がこじらせてる故ではあるんですが、普通の感覚の観客からすると到底受け入れられる展開じゃないです。(大真面目に考えると、ですが笑)
初めて裏稼業の後処理の仕事をした翌日、「男をあげたぜ」的なトーンでニヤニヤする和彦と、それを茶化すように問い質す松本との男子っぽくて自然なやり取りにすんなりと納得させられてしまうのです。
あ~そういうやり取りあるある、日常的だね、みたいな感情に、まぁまぁあり得ない展開が埋もれていく感じ。
そんな熱すぎず冷たすぎずのヌルめのお湯に浸かりながら映画が進んでいきます。
個人的にはちょうど良い好きな温度でした。
ずっと浸かってられる(笑)
それにしても役者陣が全員うますぎ!!
和彦役を演じた主演・プロデューサー兼任の皆川さんは挙動不審さを醸すのがうまくて、良い感じに気持ち悪さとまともさが同居する和彦像を作り上げてました。
あの気持ち悪さは、目線とメガネの演技の賜物な気がしてます(笑)
そしてもう1人の主役、松本役の磯崎さん。
彼のアクションが格好いいのと、法の外側にいて社会的には圧倒的に悪なんだけど、友達になりたいなーと思わせるアノ感じ。
好きなキャラクターです。
あと893の田中役の矢田さんもうまかったー!
この人がいないと物語が停滞しちゃうので、ある意味では映画はこの人が動かしてる。
銭湯のオーナーである東役の羽田さんもキャリア何十作もあるのかと思う演技。
調べてみたら本格的な出演作はまだ数える程。
あと彼女になる百合役の吉田さんも好きです。
この状況であの和彦が恋愛するなんて、嘘でしょ?!って展開に対して、すんごく普通の雰囲気を醸しながら現実味のある恋愛シーンを提供してます。
そんな彼らの迫真の演技に飲み込まれて、シュールだったりユルかったりブラックだったりするユーモアも素通りしながら見入っちゃうシーンも多々ありました。
「あれ?これ笑ってイイよね?イイやつだよね?」って思いながら観ていったら、いよいよ最後の方の食卓のシーンは笑いを堪えきれませんでした(笑)
あの食卓の時の和彦のお父さんとお母さんはね、ずるい!!笑
映画の面白いトコ全部持ってっちゃった(笑)
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■あとがき
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メランコリックな出だしから思わぬ形のエンディングに向かい、劇場を後にする時の観了感はなんか最高でした(笑)
これはね、2019年の個人的な邦画ランキングには確実に入ってくると思います。
公開館数は決して多い方ではないです。
しかし少し足を伸ばしてでも観に行く価値のある一作だと思います!
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■予告編
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