№9
日付:2024/2/17
タイトル:夜明けのすべて
監督・共同脚本:三宅唱
劇場名:シネプレックス平塚 screen3
パンフレット:あり(\1,000)
評価:5.5

 

ちょっと前まで、少々感情的になっている女性に対して「あの日なんじゃないの?」といった無神経な発言だったり陰口だったりが発せられていたこの国です。ちなみに我が家はPMSという言葉自体私も妻も知らず、娘は知っていたという認知度状況。

「PMS」「パニック症候群」といった、一昔前なら個人で抱え込むしかなかった原因不明の身体的不調を抱える若者が、社会生活を送る中で折り合いをつけてゆくお話。そしてそこには周囲の理解とサポートが不可欠である事を淡々と描いている作品。善い人しか出てこないし、彼らに手を差し伸べる人達もまた心に傷を負っていて、誰かの助けを必要としている。

 

上白石萌音演じる藤沢美紗の行動や発言はPMSだから許される類のものではなくて、本来こういう軋轢を生まない為の手立てこそが大事なのだけれど、本作では美沙がPMSである事を強調するが如く不用意にキレてしまっている。“生きづらさ”を解消するには、優しさの連鎖が唯一の解決手段というのは、救いようがあるようで救いようのない話なのかもしれない。でもここで描かれているのはそういう話。

 

淡々とした日常を描いた作品におけるバイプレーヤーの重要性をひしひしと感じます。光石研さん、久保田磨希さんの存在感はもはや作品のクオリティに多大な影響を及ぼしている。バックボーン含めたキャラクター設定もしっかりしてるんだろうなと、パンフレット見て感じました。

NHKのドラマ10あたりで連ドラ化してくれたら、そちらも観てみたいと思いました。

 

ウェルビーイング(Well-being)の実現が日本の企業経営においても当たり前になりつつある昨今ですが、こういう作品が生まれる事自体、その取り組みが過渡期である事を証明しているような気がします。

 

 

 

 

パンフレット

・イントロダクション

・ストーリー

・松村北斗×三宅唱監督

・上白石萌音×瀬尾まいこ(原作者)

・キャスト(脚本担当によるキャラクター紹介も)

・スタッフ

・プラネタリウムについて

・栗田科学(株)について

・キーワード

・プロダクション・ノート

・寄稿01 SYO(物書き)

・寄稿02 長島友里枝(アーティスト)

・夜についてのメモ

・クレジット

チラシ