№34
日付:2023/9/16
タイトル:ミツバチのささやき | EL ESPIRITU DE LA COLMENA
監督・共同脚本:Victor Erice
劇場名:シネプレックス平塚 screen3
パンフレット:あり(購入済
評価:5.5

 

36年前に寝落ちしてしまった本作を「午前十時の映画祭13」にてリベンジ観賞。

内戦が終わりを告げた1940年のスペインのとある村。公民館で巡回上映された「フランケンシュタイン」を観た少女アナに訪れる人生の通過儀礼(を描いたのだそうby監督)。

私が小学生の頃(昭和40年代)も、小学校の講堂でアニメや怪獣映画や劇団の舞台を観た覚えがあります。あれってある種の幼児体験的な出来事として、心に残り続けるものなんです。

 

当時のスペインの内政事情を背景に、養蜂業を営みつつ蜂の生態を学者の如く観察を続ける父、母親の想い人への恋慕、そして姉妹の日常を、それぞれ不可侵なものとして思わせぶりに描きながら、スクリーン上の怪物と逃亡兵の末路とが幻想的に交錯するアナの体験と成長を見守る事となる。怪奇映画を観て素朴な疑問を持ったアナを演じるアナ・トレントの無垢な愛らしさが、本作の普遍性に一役も二役も買っている。


36年前と同様に本作への情報を何も持たないまま観賞に臨みましたが、全ての出来事が淡々と描かれていて、当時爆睡してしまった理由は良く判った。今回は鑑賞後にじわじわと、思った以上に後を引くことに。監督の作家性に向き合わないと絶対退屈してしまいそうな作品ですが、当時のパンフレットに記載された監督インタビューを読んで、本作へのアナリーゼ不足を如実に感じてしまった。

 

10年に1作ペースのヴィクトル・エリセ監督は、10年前にアキ・カウリスマキ監督らと作ったオムニバス映画が最後だと思ったら、今年のカンヌで新作が上映されていた(プルミエール部門)。日本公開やいかに。

 

 

 

36年前に購入したパンフレット(CINE VIVANT №8)

監督インタビュー記事は今回の再鑑賞後に本作への理解を深める上でとても役立った。