№24
日付:2023/6/17
タイトル:怪物
監督:是枝裕和、脚本:坂元裕二
劇場名:シネプレックス平塚 screen5
パンフレット:あり(\990)
評価:7.5


私が小学校2年の時の話。体育の時間に私の前にいたクラスメイトがいきなり私に向かって砂を投げつけてきて、それが目に入った私はその場で立ち上がり大泣きしてしまった。ところが担任の松島先生は何をするわけでもなく、家に帰って私の目を見た母親はすぐに私を眼医者に連れて行き、目の中を洗い流す処置が施された。母親は学校に行って事の次第を松島先生と談判。
その事があった学期の終わり、松島先生は私を呼んである言葉を口にした。そしてその時にもらった通信簿は、体育を除いてオール5でした。

 

 

とある地方都市で起きた、災害、事故に、学校での揉め事。

息子の異変に気付いた母親が対峙する学校関係者。観ているこちらが不愉快になるような、ありえない状況描写に心ざわつく。なんなん、これ?

映画「羅生門」的な作品なのかと勝手に推し測っていた本作ですが、さにあらず。前段のありえない前振りは最初のトラップに過ぎなかった(少々やり過ぎ感ありますが)。伝染する情報と根拠のない噂話とそこに入り混じる事実。時間軸を前後させながら、全ての点が線となり、真実が全貌を現す。まるでオセロの盤面が黒から白に裏返っていくかのように。


今年のカンヌでの最優秀脚本賞受賞に激しく納得。本作の最重要成功要因が坂元さんの脚本にあるのは間違いない。ものの見事にやられました。こんな作品、あらすじなんて読んで観に行っちゃ絶対にダメです。せっかくの“映画体験”を台無しにされかねない。

いやはや参りました。是枝監督と坂元さんの脚本と教授の調べが、今年度を代表する1本を生み出した。観に行って本当に良かったと思える、これぞ映画な佳作でした。

 

 

昨今学校の先生の残業の多さが問題になっていますが、ちょっと前まで担任が未納の給食費の取り立てまでもやらされていたという状況に呆れるしかない。昔から存在している日教組とかって何やってるんですかね?

 

 

 

 

 

 

 


パンフレット

・イントロダクション
・ストーリー
・監督:是枝インタビュー
・脚本:阪元裕二インタビュー
・みずうみに眠る怪物/角田光代(作家)
・安藤サクラ インタビュー
・永山瑛太 インタビュー
・黒川想矢 インタビュー
・柊木陽太キャスト・プロフィール
・スタッフ・プロフィール
・怪物を制御する主体 内田樹(思想家・武道家)
・ひかりのかなたへ 岡室美奈子(早稲田大学文化構想学部教授)
・音楽:坂本龍一
・プロダクション・ノート
・クレジット

 

チラシ①

チラシ②