№19
日付:2022/6/9
タイトル:ハケンアニメ! 
監督:吉野耕平
劇場名:シネプレックス平塚 screen1
パンフレット:あり(\850)※通常版
評価:6点

 

何も知らない無知な私は、何だこのタイトルはと。プロモーション含め観賞意欲をそそる要素が全く見当たらない本作がコケるのも当然だと思いつつ、唯一巷の評判の良さのみに期待して観に行った。

原作は辻村深月。2015年本屋大賞第3位。「an・an」誌で連載。累計発行部数18万部(ってどの程度のヒット?)。全て映画を観終わって知りました。勿論原作未読。

 

バクマン。」でも感じたのですが、漫画やアニメといった作品を生み出すクリエイター達が、読者アンケート一位とか視聴率競争の勝ち負けとか、そういった勝負事にばかり一喜一憂する姿を描くのって私的に精神衛生上よろしくない。営業がコンペに勝つのとはわけが違う。読者や観客はそんな事で作品の優劣などつかないことを判っているというのに。

 

と思いつつも、本作はお仕事小説を原作とした映画として実に良く出来ていた。

他局が覇権を握る時間枠に、対抗馬として投入する新作アニメの監督に突如抜擢された新人女性監督。かつて「アルプスの少女ハイジ」の放送時間に「宇宙戦艦ヤマト」が挑んだようなものでしょうか。しかも相手は伝説のアニメ監督という圧倒的に不利な状況の中、進退をかけた彼女の戦いが始まる・・・というお話。

ライバル関係にある2人の監督、両陣営の作品作りの過程と関係者の苦悩をテンポよく畳み掛けけてきて、心ならずも登場人物たちの頑張りを応援し、時にウルウルしてしまう。極々オーソドックスな展開であるにもかかわらず、このジャンルの作品としてのツボが見事に押さえられている。

吉岡里帆さん、「レンアイ漫画家」でファンになりました。しっかりコメディエンヌとしての才能と魅力を感じる女優さん。本作でも周囲に翻弄される新米監督、斎藤瞳を好演していて、観終わった後に清々しさを感じる成功要因は多分に彼女のおかげ。


実はアニメの世界では放送当時視聴率で惨敗しながらも再放送で挽回した作品が幾つもあり、興行的に成功しなくても良い作品が再評価される、作り手と受け手の幸せな関係が確立している。

そんな業界を舞台に視聴率争いを描いた本作が、佳作でありながらも興行的に失敗しているのは実に皮肉な話です。

 

 

 

 

劇中アニメのキャラ設定は窪之内英策氏!

 

パンフレット。作品の出来が良い理由が垣間見える

チラシ

入場者特典のポストカード

本日上映終了日だというのにまだ配られていた…