№21
日付:2016/8/19
タイトル:シン・ゴジラ
総監督・脚本:庵野秀明、監督:樋口真嗣
劇場名:109シネマズ湘南 シアター7
パンフレット:あり(\850)
評価:★★★★
「さらば、ゴジラ」と銘打って最終作を公開したのが2004年。誰も信用していなかったけれど僅か12年で前言撤回した東宝さん。担当するのは”「エヴァンゲリオン」だけの男”こと庵野秀明と樋口真嗣の「巨神兵東京に現わる」コンビとあっては期待する気も起きない。
絶対つまらないゴジラ映画に違いないとその駄作振りを確認しに行ったつもりが、そんな邪な動機は見事に粉砕された。
「ヱヴァ」で構築した近未来TOKYOの世界観を現代に置き換え、未知の巨大生物の駆逐に果敢に挑む官邸と役人達の姿は現代版NERVそのもの。例の戦闘曲を効果的に挿入するあたりに確信犯的思惑も滲む。それを庵野監督は実写でもって流暢にやってのけた。
怪獣王としての威厳を失いつつあったゴジラは新たな”使徒”として驚愕の再生を遂げ、第1作目以来と言ってもよい衝撃的な怪物として現代の東京に上陸。東京を火の海にする咆哮の凄まじい事。「巨神兵東京に現わる」がもはや本作にむけた実験の1コマに過ぎなかった事を痛感。あの作品で庵野監督の演出力を推し量ってしまった浅はかさを反省するしかない。平成ガメラシリーズの立役者、金子修介監督でさえ成し得なかった"元祖"破壊王の復活の瞬間に魂震えました。
ゴジラの出自と対峙する科学者の存在についてはそのDNAをしっかりと受け継いだ形で見事に再設定。ゴジラ映画としての真っ当度はこの脚本の見事さに負うところが大きい。
当の主役は終盤動きが鈍り"張りぼて"化してしまう。人類が最後に試みるゴジラ退治の起死回生の策が"歯医者さん"作戦というのも誠に残念。
とはいえ恐るべきは庵野監督。得意技を駆使して実写とアニメの”二刀流”を成し遂げたその手腕に脱帽です。
パンフレット
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