№35

日付:2010/11/6

タイトル:バベットの晩餐会 | BABETTES GASTEBUD

監督・脚本:Gabriel Axel

劇場名:TOHOシネマズ海老名 SCREEN 7

パンフレット:あり(中古 定価\1,200)

 ※キネマ旬報社刊「午前十時の映画祭」プログラム本もあり(\1,200)

評価:★★★★

 

シネコン全盛の昨今、ロードショー作品とミニシアター系作品に公開が集中し、昔の名作を鑑賞する機会が減っています。そんな中、TOHOシネマズ系列で今年の2月から実施している「午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本」にようやく行ってきました。 

昔の名画座といえば、使い回されて傷だらけのフィルムが当たり前でしたが、さすがの音質&画質。近場のTOHO系列ではやっていない為なかなか行く機会がなかったのが至極残念。

 

今回選ばれた50本の内、ほとんど知らなかった作品が「薔薇の名前」と本作品。いずれも1980年代後半の作品でした(「バベットの晩餐会」の日本公開は1989年)。

 

 

地方の寒村で細々と暮らす年老いた姉妹の生い立ちをナレーションで解説する淡々とした進行に、観る側も忍耐を強いられる。こんな調子で「何度見てもすごい50本」の1本として堪能できるのか?とヤキモキする前半。

 

後半、そんな心配を見事に払拭する展開が待っていました。

俗世に惑わされることなく神と父親の教えを守り続けてきた姉妹に仕える一人の女性、バベットが生み出す奇跡。そして神の思し召しに導かれるように集いし人々に訪れた至福のひととき。

食と信仰という人類にとって普遍的な二つのテーマを、映画の普遍性へと昇華させたこの作品。終わり良ければ全て良し。最後の最後に感極まり、涙が溢れました。
 

ただ正直、未だこの作品を整理し切れないでもいます。

 

自分を拾ってくれた姉妹への恩返しとばかりに腕を振うバベットは料理人としての本懐を遂げ、遠方より駆け付けた将軍はこれまでの自分の人生までをも肯定し、村人達はもはやバベットの料理なしでは生きられない体になってしまいました。

 

姉妹の永年にわたる信仰心と善行がもたらしたこの奇跡の一夜に村人たちが享受した至福。"日常の極上"を超越した贅沢を堪能した後に彼等に訪れるものとは。
良く出来た寓話のようでもあるこのお話が拠り所とする美徳が、この姉妹が人生を通して拒絶してきた世界の中で育まれたものである点、アイロニカルでもあります。

 

この作品の監督であるガブリエル・アクセルのフィルモグラフィーを見ると、この作品以前に撮っているのはエロ映画ばかり(日本でもポルノ映画出身の名監督はたくさんいますが)。アカデミー賞まで受賞しておきながら、その後目立った活動がないのも妙な感じです。

 

とはいえ、まさに「何度見てもすごい」と銘打たれたラインナップに相応しい本作品。中古DVDは異常な価格で取引されているようですが、TSUTAYAあたりでレンタルして再見したいです。

 

 
 
 


映画の記憶・・・と記録-BABETTES GASTEBUD 

映画の記憶・・・と記録-BABETTES GASTEBUD
ヤフオクでチラシはゲット。晩餐会のメニューとか書かれてます。

 
映画の記憶・・・と記録-BABETTES GASTEBUD

ヤフオクにてパンフレットもゲット。

DVD等はかなりの高値で取引されていながら、パンフレットはちっとも見当たらない。そう思っていました。

Amazonやヤフオクで「原作本」として掲載されているこちらの一冊。よく見ると「シネセゾン」と記されている。

そう、こちら公開当時劇場で販売されていた"パンフレット"らしいです。私もそうでしたがそれに気付かないのでスルーしていた。おかげで価格も安いまま。こちら5百円で落札。初版、帯付き。

状態も非常に良いものを入手できて良かった~