№6

日付:2008/3/1

タイトル:音符と昆布  オフィシャル・サイト

監督:井上春生

劇場名:TOHOシネマズ小田原 SCREEN 6

パンフレット:あり(\700)

評価:★★★★


作品を観ている間、ずっと監督は女性に違いないと確信してました。ちょっと理屈っぽくてスノッブな台詞回し、姉妹それぞれの感情の機微の繊細な描写振り・・・・エンドロールで出て来た監督の名前は、男性でした(井上春生監督)。


あまり普通じゃない家庭環境と事情を持つ小暮もも(市川由衣)の前に突然現れた姉かりん(池脇千鶴)。

かなり普通じゃない姉の行動や言動に、愛情と苛立ちの両方を感じるももの感情の揺れが、優しく繊細に描かれています。

この家族の諸々の事情が、かりんの幼い頃の記憶を挟みながら、彼女の生い立ちと彼女が抱える問題と共に自然に結び付いていきます。そしてこの姉妹の間の絡んだ糸は、逆にそーっと、ほぐれていく。

かりんが昆布と若布(ワカメ)の違いを説明するシーンで最初にハマりました。何度も胸が詰まりました。ラストにじ~んときました。エンドロール終了後、こっそり一人で拍手をしました。


私が女性の視点と感じたこの作品の肌触りは、作り手側に主人公と同じような境遇の方がいて、その方への理解と愛情の表れなのでは・・・とも(勝手な推測に過ぎません)。


この作品で描かれる、良いヒトだらけの調和の取れた世界感は、映画ならではのファンタジーではあるのでしょう。ですが、まさに昆布ダシのようにじわーっと染み入る、後味の良い映画です。



シネムジカ(Cinemusica)シリーズ第4弾。映画と音楽の融合を目指したプロジェクトだそうです。前3作も全て井上監督ですか・・・これは観てみたくなりました。

ただ本作品、「映画と音楽の融合」を意識するあまり、そのコラボ振りに少々不自然さが付き纏います。最初の挿入歌なんて、そのシーンごと不要なのではと感じました。音楽そのものにケチをつける気はありませんが、レコード会社が主催する本プロジェクトであるが故に、プロデュースする側の恣意的な意図が働いているのだとすると、少々残念です(とはいえそれを差し引いても、良い映画です)。

 

映画の記憶・・・と記録-音符と昆布

主役の二人にご褒美をあげたいくらい。

どの作品でも体当たりの演技をみせる池脇千鶴さんは、今回も本当に素晴らしい。そして自然。

 
音符と昆布

パンフ(裏)
音符と昆布