№20

日付:2007/9/24

タイトル:題名のない子守唄 | LA SCONOSCIUTA

監督:Giuseppe Tornatore

劇場名:シネプレックス平塚 シネマ6

パンフレット:あり(\600)

評価:★★★☆


この手の映画は絶対に事前に情報を仕入れてはいけない。全くの白紙で観に行くべし。

私は監督が誰かも知らずに観に行きましたが、「 『ニュー・シネマ・パラダイス』の巨匠ジュゼッペ・トルナトーレの監督最新作」という情報だけで十分です。

よって当面は内容に関する文章を背景色と同じ色にしておきます。


そういえば昔、浜村淳がTVの映画紹介のコーナーでストーリーをベラベラと喋りまくってたなー・・・



主人公であるウクライナからの移民女性イレーナがイタリアのとある街で金細工商の家族に取り入っていく様と、フラッシュバックで描かれる彼女の忌わしき過去の記憶、彼女の目的とその理由が、現在と過去のパズルが徐々に埋まっていく過程で明らかになっていく。
その中で、当然観客はこの謎解きゲームに参加し思いをめぐらす事になる訳ですが、監督が用意する様々な小道具に誘導され辿り着いた推理の結果を、最後に思いもかけず裏切られてしまう・・・ホント良く出来たサスペンス物だと思います。
この家の一人娘テアが達者で可愛い・・・!彼女の頑張りがイレーナの鬼気迫る母性本能ぶりを実に自然なものにしています。


テアの母親が死ななければならない理由がもう一つ釈然としませんし、イレーナの犯罪じみた行為により崩壊したテアの家庭を考えれば恨まれて当然でもあるとも思いますが・・・


ただのサスペンスものに終わらず、主人公が過去と決別しようと思いつめた先に残った母親としてのピュアな想いと、その結果生まれたテアとの絆をヒューマン・ドラマとしても描けている。私は衰弱しきったテアに優しく語り掛けるイレーナのシーン辺りから涙が止まりませんでした。


救い様のない人生も自ら犯した罪も全て清算した後に彼女を待っていたのは・・・1人の女性が抱える異常なまでの母性本能とそのピュアな美しさを、サスペンスと人間ドラマとして両立させた事で、見応えある佳作に仕上がっています。


ラストのテアの笑顔に、イレーナ共々観客も救われる思いで劇場を後にしました。

 

映画の記憶・・・と記録-LA SCONOSCIUTA


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