珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
マルタの鷹   1941年



ストーリー

 サンフランシスコの私立探偵サム・スペード(ハンフリー・ボガート)は、ワンダリー(メアリー・アスター)という女にサースビーという男から妹を救ってほしいとの依頼を受ける。スペードの相棒、アーチャーは彼女の美しさに惹かれ、その依頼を自ら引き受ける。その夜、アーチャーは、サースビーとともに死体で発見される。事件を追求するスペードの前に、カイロ(ピーター・ローレ)という奇妙な男が現れ、黒い鷹の置物を探し出してくれたら5000ドル支払うという。・・・・


 アメリカハードボイルド三大探偵(サム・スペード、フィリップ・マーロウ、リュウ・アーチャー)の一人で、ダシール・ハメット原作『マルタの鷹』の探偵サム・スペードの活躍を描いたこの作品は、ハードボイルド映画の古典的作品であり、またハードボイルド映画の最高傑作であります。この映画を観ずしてハードボイルド映画は語れないと思っています。

 ジョン・ヒューストンの初監督作品で、後に傑作(『黄金』、『キー・ラーゴ』など)を生んだハンフリー・ボガートとの初コンビ作です。


 ジョン・ヒューストン監督の演出を、「きびきびした語り口。いっさいの感情を殺して、冷徹に切れ味鋭く描き出す手法。大胆不敵な省略法。少々オーバーな表現が許してもらえるならば、それはぼくが、生まれて初めて接したといってもいいほど斬新で鮮烈な映像だった。これがハードボイルド・タッチというものかと、思わず目をみはらずにはいられなかった。」と、自著にて評価しているのは、映画評論家深沢哲也 氏です。

 

 サム・スペードに扮するハンフリー・ボガートは、この後、『三つ数えろ』(1946年)ハワード・ホークス監督作で、フィリップ・マーロウに扮し、三大探偵のうちの二人を演じました。



珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
ハンフリー・ボガート(1899年~1957年没)