2021年夏
夫は桜を見ることもなく、夏の暑さを感じることもなく、今はリハビリ病院で過ごしている
容態は安定していて
月1回のカンファレンスも順調だった
私たち家族はますます夫のいない生活に慣れていき
側からみたら、平和な家に見えていただろう
会社でも夫のことを話す事はなく
それでも
心の奥にいつも借金やローンの重みを感じながら
過ごしていた
夫の傷病手当が順調に入金されるリズムができ
共済も支払われ、気管切開と胃ろうもしたことから
手術共済も支払われ
1番厄介なサラ金の返済の目処がたってきた
とは言っても、まだ返済分総額の半分にも満たない
その先のことを考えると身体が震えそうなので、
とりあえず目の前のことをひとつずつ
なんとしても返さなければならない借金なのだから
コロナ禍の夏だったが
私もワクチンを職域で2回接種して
夫のワクチンをどうするか主治医に聞いた
体温が安定していない夫にワクチンは打てないという
たしかにそうだ
私もモデルナの2回目はかなりの熱が出てつらかった
また、ワクチンはいずれ、ということで
その話は済んだ
世の中は予定通り
オリンピックが開かれ
そしてパラリンピックが開かれた
パラリンピックを見ながら、選手の笑顔が輝いている様子に胸打たれる
ハンディがあっても、成し遂げられる達成感は素晴らしいだろうと思う
夫は…きっと…ハンディを乗り越えようという
そういう根性はあると思う
けれど、その意志を持てる状態にない
自分のことがわかっているのかどうか
表から見ると、それが全然わからない
もし、わかっていたら
こんな可哀想なことはない
乗り越える気力さえ持つことができない夫
いろいろな思いを胸に
2021年の夏は過ぎていく
今年は全ての季節が
わたしにとって異常だ
そんな折り
8月が終わりを迎えようとしたころ
リハビリ病院のソーシャルワーカーさんから
話があった