夫倒れる① | 夫が借金残して倒れた日から

夫が借金残して倒れた日から

2021年2月、夫は借金を残したまま倒れ、寝たきりとなってしまいました。その後高度障害認定により借金完済。そして2022年6月永眠。いろいろな思いや、生活のこと、お金のこと。忘備録を綴ります


2021年2月28日



その日、熱があった夫


仕事から帰った私は、キッチンの様子を見て

寝ている夫に声をかけた



「◎△*スーパー行ったの?」


「?」


「熱あったのに、大丈夫?」


「△*◎スーパー?」


「え?何言ってるの?」



いつも行くスーパー


文字を入れ替えてスーパーの名前を言った夫に

私はゾッとした


向かい合って目を合わせると

なんだかボーッとしている夫の目



「自分が誰だか、わかる?」


「え?」


「私の名前は?」


「えーっと…名前?」



夫は私の名前がわからない


空中を指差し確認するように指を動かして、

私の名前を思い出そうとしている




わたしは怖くなって119番


救急車を呼ぶことに

なんの躊躇もなかった


とにかく

タダごとではない、と思った



娘と息子は、その日家にいなくて私ひとり



夜中の国道

私と夫を乗せた救急車



外は見えなかったけど

まわりの車のランプが前から後へと

かなりのスピードで流れていく


自分の乗っている救急車のサイレンが遠くに聞こえて



不安でいっぱいだけど

私は取り乱すことなく、隊員の質問に冷静に答えた


こんな状況でも

人って普通に話せるものなのか…


そんな風に思った



救急病院に入ると、高熱があった夫はコロナを疑われ

PCR検査をするまで私は家から出ることを禁止


濃厚接触者の疑いがあるからだ



夫を病院に託し

私は明け方、タクシーで家に帰ってきた


公共の交通機関は使わないように言われて

病院がタクシーを呼んでくれたのだった


タクシーがマンションについたところで

自分が財布を持っていないことに気付く


冷静なつもりだったのに

それほど慌てていたのかも


運転手さんを待たせて

家に財布を取りに行き支払い帰宅




家に帰っても、眠れるわけがなく



いろいろな事が頭に浮かび

ずっと心臓がドキドキしていた



救急車の中で

隊員の方の問いかけに意外にもしっかり答えていた夫


自分の名前、生年月日


けれど、その答える様子は

私の目には異様に見えた



自分の状況はわかっているわけではなく

ただ聞かれたことに応えているだけ


そんな感じ



翌日、PCR検査が陰性だったと知らされ

とりあえずほっとしたけれど



それならなぜ


あんなに熱がでて、意味不明な話をしだしたのだろう


なにか大きな病気なのだろうか



その日はとりあえず仕事を休み

病院に行くつもりで準備をしていた



下着や洗面道具などを持ってくるように

病院から言われていた



とにかく不安

なよりもまず不安



でも今から思うと

もうその時から、私の不安はお金のことだったと思う


どのくらい入院するのだろう

入院費どうしよう



夫の病状より、お金を心配する自分を卑下しながら

病院へ行き、入院手続きをした



看護師さんから、夫が昼食を普通に食べたこと

コロナではないことがわかったので

肺炎などの検査をこれからすること



家で主治医からの電話連絡を待つように言われて

家に帰った



まずは夫の会社に連絡をして、少し会社を休むことを伝え、限度額認定証をお願いする


我が家には、高額な入院費を立て替えるお金はない…


限度額認定証のことは、母の入院のときに利用して知っていた



そのあたりの迅速さは

常にお金の不安を抱えていた私には普通のこと




けれど翌日…

大変な事態に