こんにちは。五十嵐 六花です。

本日は記念すべき第1回です。

 

最近は3冊読了したのですが、こちらがVol.1にもってこいだと思いましたので、選ばせて頂きました。

 

森絵都さん 『カラフル』

 

読むべき本ランキングなどでもよくお見掛けしますが、ミステリーが好きな私は見事にスルーしておりましたが、いやいや。なんていい話…。とじんわりと心が温かくなりました。

 

 

あらすじ

 

生前の罪により輪廻のサイクルから外されたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真(まこと)の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになる…。

老若男女に読み継がれる不朽の名作。

 

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はじめて森絵都さんの作品を読みました。率直に言葉が柔らかくてわかりやすくてすぐに物語の世界に入り込めました。

カラフルというタイトルから、動物だったり、家族だったりの絆みたいなものをテーマにしているのかと想像していました。

最初に瑠璃色の目の天使が出てきたので、これはそういうハートフルな話なんだと決め込んでしまっていました。実際初めの30ページくらいまでは真の家族が自殺した真の奇跡の生き返りを心の底から喜んでる場面なんて、まさに絆や愛といった言葉で表現できるしタイトル通りなのかな…なんて思っていましたが、いじめ・不倫・援助交際など社会問題がたくさん出てきて、なんだかカラフルとは程遠い世界が広がっていました。

 

この『カラフル』は私的にはパステルカラーといいますか、靄のかかった青春の思い出を引き出すような何気ない日常が描かれています。だからこそ真が抱える闇が際立っていたように感じました。この作品には美術描写がたくさん出てくるので、そこからのイメージですが、日常がパステルカラー(私的にね)とすれば、真は黒。ぜーんぶ真の黒で覆いかぶさってしまってます。真実も何もかも黒で塗りつぶされているような感じです。でも、最終的には黒もところどころ混じってしまうけど、それでもいろいろな色を大切にしてほしいというメッセージが込められていると受け取りました。全部きれいな色でなくてもいいと黒色も灰色も暗い色も含めて初めてカラフルと呼べるような気がします。だから、そんなことでくよくよしないでねと作者に励まされるような気がしました。

 

カラフルという言葉には、明るい・ハッピー・幸せ…、そんなイメージがありました。でも、この作品を通して思うのが、影があるからこそ光り輝くのだということです。実際に人生は幸せなことばかりじゃないし、挫折とか失望とか繰り返しながら続いていきます。陳腐な言い回しですが、不幸があるからこそ幸せがあると感じさせられました。

 

私は、個人的にひろかを連れてったあとにひろかが放ったセリフにグッときました。

「じゃあ真くんはさ、その高そうなスニーカー、大人になるまで待てる?」

大人になったら(私の場合は年を重ねていったら)必要なくなることなのかもしれません。でも、今の私にとってはすごく心躍るモノ・コトを我慢することに意味があるのかな?と感じました。

もちろんある程度の我慢だったり、将来を見据えて行動することは必要だけれども、今の自分に正直に生きることもまた必要なのだと思いました。損得ではない、心に従うことって年を重ねれば重ねるほど知りすぎて難しくなりますが。

 

曖昧なことばかり連ねてしまいましたが、悩める学生のみなさんは一度読んでみて自分らしく生きるための何かを感じてみてはいかがでしょうか。

暗い雰囲気は漂わせていますが、全体的に明るく簡潔で非常に読みやすい作品でした。

私は天使のプラプラがこの作品のカギのように感じます。再挑戦管理人とかそういった現実感をまとったものではなく、「天使」というふんわりとした存在がこの作品に温かさを加えているのではないでしょうか?

 

今後も、森絵都さんの作品に触れていきたいです。

 

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Vol.1 いかがでしたでしょうか。

 

映画化やアニメ化もされているようなので、機会があれば見てみたいと思います。

お付き合いいただきありがとうございました。

また次の読書感想文もお付き合いくださいませ(#^.^#)

 

五十嵐六花