こんにちは。五十嵐 六花です。

もう夏の気配がそこまできていますね。

 

と、いうことで今回はそうホラー小説

 

澤村伊智 『ぼぎわんが、来る』

です。

ばぎわん って打つことすら怖いです(笑)

 

きっかけは、映画でした。で、ちょっと気になる箇所もあったので原作を…という流れです。

映画は最後のお祓いのシーンが邦画らしく豪華で好きでした。ドラマだったら(そもそも怖いからしないと思いますが)あそこまでできないように思います。

 

夜に読んだのでいちいちビビりながら就寝した私の感想を。

今回は映画も観賞済みですので、映画の感想とかも交えてます。

 

あらすじ

“あれ”が来たら、絶対に答えたり、入れたりしてはいかん—。幸せな結婚生活を送る田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。それ以降、秀樹の周囲で起こる部下の原因不明の怪我や不気味な電話などの怪異。一連の事象は亡き祖父が恐れた、“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか。愛する家族を守るため、秀樹は比嘉真琴という女性霊能者を頼るが……!?

 

 

感想文はネタバレも含みますのでご注意ください。

 

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小説の展開は3場面でした。

第1章 訪問者 は田原秀樹の視点で物語が進みます。秀樹は幼いころ、祖父母の家で祖母の外出中に女性に戸口から話しかけれます。しかし、その女性の問いかけは様子がおかしいのです。認知症だったはずの祖父が、「帰れ!」!と叫び、秀樹に「あれが来たら答えたり入れてはいけない」と言います。その後祖父はなくなり、葬儀の場で昔話をし、子供のころのよくある子供をさらう妖怪やおばけの話になると、祖母が亡くなった祖父の地元ではその妖怪をぼぎわんと呼んでいたというのです。

秀樹がぼぎわんについて知ったきっかけでした。その後、香奈と結婚し、娘の千沙が生まれる少し前に会社に来訪者があり、部下が原因不明の噛み傷の怪我を負います。秀樹は少しずつ、ぼぎわんに追い詰められていくのです。

この過程が、じわりじわりとぼぎわんが近寄ってきている様子で、非常に怖い。映画を鑑賞したあとに原作を読んだのにも関わらず、めちゃくちゃ怖いですよ。

田原と部下の高梨の父が高梨の怪我について話す場面なんて、ぞっとしました。ロビーで謎の出血をした高梨の傷口は何かにかまれた噛み傷。しかし、Yシャツなどはちぎられたような形跡はない。

ぼぎわんという正体不明の化け物の気持ち悪い感じが嫌でしたね。よりによって病院で話さなくてもいいじゃないですかといいたくなります。

 

秀樹のイクメンぶりがコントラストとなっていて、陽気で明るい場面がより一層暗く恐ろしいぼぎわんを際立たせいたことに加えて、愛する妻と娘を守ろうとする秀樹の必死な姿がぼぎわんがいかに恐ろしく不気味な化け物かを訴えてきていました。

秀樹のラストは映画版より不気味でした。

 

第2章 所有者 は妻の香奈の視点です。

秀樹のイクメンぶりの裏側にあきれていた香奈。娘との幸せに暮らす香奈。その背後に忍び寄る黒い化け物。

暗い気持ちがぶわぁっと広がってきて、秀樹が嫌いになりました。私が女性で香奈の考えに共感できるからだと思いますが。

なんといっても、千沙がけがをした際の秀樹の対応は本当に少年のようで、悲しくなりますね。でも、パパ会はやるという感じが、秀樹のおままごと感が出ていて夫婦の溝がしっかりと感じられました。

最後の香奈の病院の場面では余白があって、真っ白な香奈を想像させました。

 

第3章 部外者 はオカルトライター野崎の視点です。

ぼぎわんの謎と対峙の章です。

野崎は「子供を持つことがそんなに偉いことなのか」と考えています。

また、唐草も似たような考えを持っており、田原家が秀樹の死後も狙われ続けていた原因を作っていました。

田原家を守ることができなくなった真琴に代わって姉の琴子が野崎とともにぼぎわんの正体を明かしつつ、対峙します。

 

さて、前置きがながりましたが、ぼぎわんの正体は子供です。

その昔、秀樹の祖父の地方では口減らしにぼぎわんに子供や老人を与えていました。

また、秀樹の祖父は家庭内暴力を行っていて長女を殺してしまっていました。そのことに耐えられなかった長男が家を飛び出した際に車にひかれ死亡しています。

このことから祖母は祖父を呪い魔導札を持っていた。そのため、凶暴なぼぎわんが孫まで狙って殺したというわけです。

 

この問題の背景には家庭内暴力があるのではないのかと思います。

これは、あくまで私が受けた印象ですが…。

秀樹はSNSやパパ会で一切千沙の面倒を見ておらず、また香奈に対する扱いもぞんざいなものでした。

たとえ直接手は加えていないとしても…娘の健康状態なんてどうでもよい、自分をよく見せる飾りのようにすることも虐待に等しいものがある気がしました。

ぼぎわんという化け物が社会問題の家庭内暴力という明るみに出にくい問題に立ち向かうように促しているのではないでしょうか。

真琴の「奥さんや子供を大事にしてください」という言葉からも、秀樹が自覚がなくても見えないDVを行っていたと感じます。

ぼぎわんの存在で香奈や千沙に必死になっていて、本当に大切なことは何なのかを秀樹に気づかせたのかもしれませんね。

 

初めてのホラー小説でかなり怖い思いもしました。

正直にまだ夜道怖いですよ!!!!

 

あと、映画ですが原作とはかなり異なるシーンが多いですし、香奈もひどい女なのですがその姿が社会問題を映し出しています。

ラストがとっても日本の映画らしく、お祓いを行う前なの神様を迎え入れるかのような感じがしてかなり好きなシーンでしたので、ご興味あればぜひ見ていただきたい。

ただ、原作ファンはラストに否定的な意見が多いらしいです。(私は映画から見たのでその辺はよくわからないのです、どっちもいいとしか言えない)

ぼぎわんの正体について何も触れてないのでもやっとするかもしれませんね。

 

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長い感想になりました。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

次回の感想文でまたお会いしましょう。

 

五十嵐 六花