うららかな春の週末、先日修理したトーエイ・ランドナーに乗りたくて、百合ヶ丘にある大好きなカフェバー、轍 WADACHIまで走ることにしました。
今回は、世田谷通りで成城に向かい、そこから調布に出て是政橋で多摩川を渡り、尾根幹を走った後、百合ヶ丘に向かうルートです。
家から走って、成城学園前の駅でちょっと休憩。
駅前には、高級スーパー 成城石井の本店があります。
ちなみに成城の住民は、成城石井のことを、ただの『石井』と呼んでいるそうです。
多摩川を渡って、多摩ニュータウンを貫く南多摩尾根幹線道路(尾根幹)を走ります。
起伏に富んだ尾根幹は、東京オリンピック2020の自転車ロードレースのコースにもなったところで、路上には、1Kmごとに『TOKYO 2020 ○km POINT』の表示が付けられています。これはいいモニュメントですね。
尾根幹を登った丘の上にある若葉台公園。
谷に向かって、古代ローマの円形劇場のようにスリバチ状に広がっている芝生の広場が気持ちのいい公園です。
ここから、小田急線の新百合ヶ丘まで一気に下り、線路に沿って1駅走れば、百合ヶ丘に到着です。
百合ヶ丘駅前にある轍 WADACHIに到着しました。
轍 WADACHIは、細い路地を入ったところにあり、常に日陰の柔らかい光線が入ってくるため、店の前で写真を撮ると、自転車が非常に美しく映えます。
おしゃれな店構えと合わせ、私が知る限り、自転車の写真を撮るにはベストスポットだと思います。轍 WADACHIに行かれた方は、ぜひ愛車の写真を撮ってみてください。
店に入ると、自転車とジャズの素敵な空間に癒されます。
そして、自転車を愛してやまないマスターが、暖かく迎えてくれます。
ピアノの上の壁に飾られる自転車は3ヶ月ごとに変わり、今はアレックス・サンジェのスポルティーフが飾られています。
スポットライトを浴びてキラリと輝くトゥークロメ(オールメッキ)の美しいサンジェ。この車は、先代のエルネスト・スューカ氏の手によるもので、アレックス・サンジェの写真集にも掲載されている自転車です。
ディレイラーはユーレー・ジュビリーのセットです。
以前にも書いた通り、私は、ユーレー・ジュビリーが古今東西を通じて最も美しい自転車パーツだと思っていて、この車を見た時、それが正しいことを再認識しました。
このサンジェのユニークな特徴は、ヘッドチューブとラグが一体化していることです。ラグ周辺の滑らかな曲線が美しいですね。
また、貫通ステムの下にケーブル受けが付いているなど、ルネルスとはまた違った個性的な工作が見られます。
よく見ると、このフレームにはシートピンがありません。
では、どうやってシートピラーを止めているかというと、シートピラーがハンドルステムと同じように斜ウス式になっていて、ピラー上部のボルトを締めることで固定しているのだそうです。
フレームを美しく見せることにこだわったアイデアに感服してしまいました。
美しいサンジェをたっぷり鑑賞させていただいた後、ちょっと遅めのランチは、おすすめのカツサンドをいただきました。カツも美味しいのですが、軽くトーストしてカリッとした食感のパンが絶品です。
マスター所蔵のサンジェの写真集を眺めながら飲むコーヒーはまた格別でした。
今回もまた、轍 WADACHIでは至福の時を過ごさせてもらいました。私にとっては桃源郷のような所ですね。
あくまで私見ですが、この店のお洒落な大人の雰囲気は、レーサーよりもランドナーの方が似合うなと思いました。トーエイ・ランドナーの奥深い世界と似ているような気がします。