1970年代半ばのプジョーのカタログが出てきたので、ご紹介します。当時の輸入元のヤマハが発行していたもので、ロードレーサー&スポーツ車のものとミニ&軽快車のものの二つのバージョンがあります。
Part 1ではロードレーサー&スポーツ車のカタログをご紹介します。
表紙は、オレンジ色のレーサーで軽快に走る女性の写真です。
ターゲットとしては、ガチガチのマニアではなく、オシャレな若者層を狙っていたと思われます。
最初のページは、フラッグシップモデルのスーパーPX10Eの写真です。
これは最上位グレードのPX10Eのさらに上に位置するスペシャルモデルで、最高級のフランス製パーツで構成されています。この時からラグの黒いペイントがなくなり、フレームが白一色になりました。さらによく見ると、スポークの交差する部分がエナメル線で縛って強化してあるなど、量販車らしからぬ加工で、スペシャルな本格派レーサーであることをアピールしています。
2ページ目の左側はスーパーPX10Eのパーツアッセンブルの紹介で、当時発表されたばかりの軽合金製サンプレ・スーパーLJなどの写真が載っています。ブレーキはマファック・コンペティションですが、ブレーキレバーは新製品の2000のレバーを使っているようです。シクロパンの6段フリーもこの時代としては最先端です。
右側には、ロードレーサーのラインナップとして、PX10E、PR10、PA10E、J10の4車種が掲載されています。J10はジュニア用の26インチレーサーです。
グレードによってパーツアッセンブルは少しずつ異なりますが、いずれもフランス製パーツにこだわっていて、プジョーらしい国粋主義が表れています。
このカタログはおそらく1974年から75年頃のものだと思われますが、ちょうどロゴ字体の変わり目のタイミングだったため、上の2台はダウンチューブのPEUGEOTの字体が新しいもので、下の2台は古いタイプになっているのがおもしろいところです。
次のページからは、ツーリング系スポーツ車の紹介になります。
最初に載っているのがUE8で、『プジョー快走車のベストセラー』と書いてあります。
ページをめくると5車種が掲載されています。
上段左がUE18で、UE8のミキストタイプです。中央は代表的ランドナーのPX50、右は5段変速のプロムナードのPE41Bです。
下段左は3段変速のプロムナードのPL40、右はジュニア用サイクリング車のJ50です。
こうして見ると、プジョーはレーサーだけでなくツーリング車のラインナップも非常に魅力的ですね。プロムナードなど、フランス車らしい上品さがあって、今でも欲しくなってしまいます。
最後のページは、パーツの紹介ですが、見出しには『世界の一級部品で構成したメカニズム。』『プジョーは<自転車>を知っています。』といった言葉が並んでいます。当時は舶来品(=輸入品)信仰が強く、フランスに対する憧れも強かったので、こういったキャッチコピーに心をくすぐられました。
日本人の目から見ると、プジョーの自転車は精度が悪いとか仕上げが雑だとか言われましたが、19世紀から続く自転車作りの歴史を通じて、自転車というものに対する確固たる哲学や、日本人にはないセンスがあるのも確かで、そういう意味で『プジョーは<自転車>を知っています。』というコピーは嘘ではないと思います。
次回はPart 2として、ミニヴェロと軽快車のカタログをご紹介します。