【再検証】東京オリンピック1964の自転車ロードレース Part 1 | CICLI LA BELLEZZAのブログ

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愛するヴィンテージ自転車たちとの生活

市川崑監督の映画『東京オリンピック』に出てくる自転車ロードレースについて、以前ご紹介しました。

実はIOCが、この映画の英語版をオリンピックの公式アーカイブ映像としてYouTubeにアップしています。このアーカイブ映像は、映画のDVDよりも画像が鮮明で、また新しい事実がわかりました。さっそく再検証してみましょう。

昨年ご紹介した”映画『東京オリンピック』に見る自転車競技”の記事も併せてご覧いただけると幸いです。

 

イタリアのツァニン(右端)の優勝を伝える写真

 

YouTubeにアップされているのは”The Tokyo 1964 Olympics Part5”という映像です。自転車競技は8分55秒頃、射撃競技の後に登場します。ライフル射撃の銃声がスタートの号砲になるという粋な演出ですね。ちなみにこの時のスタートはJRの高尾駅前だったそうです。

 

さて、スタート直後の集団の映像をストップモーションで見てみましょう。画面左側の前方にトリコロール・ジャージを着たフランスのエマールが出て来ました。画面右側には青いジャージに帽子をかぶったイタリアのジモンディがいます。そしてジモンディの斜め後ろにはベルギーのメルクスの顔が見えますね。メルクスの目はジモンディの動きを追っているようにも見えます。メルクスの前方、画面の一番右端に見えるのは、同じベルギーチームのホーデフロートでしょうか。ホーデフロートは東京五輪で銅メダルを獲得した後、プロでも活躍した名選手です。最近ではアスタナチームの元監督としてご存知の方も多いかもしれません。

 

続いて、10人ほどのトップ集団がアップで写ります。カンパのコンポを付けている選手が多いですね。カンパはこの前年の63年に初代レコード、いわゆる鉄レコのリアメカを発表していますが、この時は、レコードを使っている選手もグランスポルトを使っている選手もいるようです。

その中で、白地に黒ストライプのジャージの選手が乗っているプジョーは、フランス車らしくTAのチェンホイールとサンプレのメカを付けています。

優勝したイタリアのツァニン選手もアップで写ります。映像ではわかりにくいですが、彼の自転車はステラ・ヴェネタというブランドで、カンパ・レコードのコンポ(リアメカは鉄レコ)を使っています。当時は、軽量化を重視して、カンパのチェンホイールにサンプレを使っていた選手も結構いたようです。

 

最後のゴールスプリントは、オリンピック史上空前の100人近い集団ゴールとなりました。映像ではゴール前200mくらいからのスプリント勝負を捉えています。その中、画面右から追い上げて来るメルクスの前に白っぽいジャージの選手が入り、メルクスが前に出られなくなってしまったことは前回お話ししましたが、この選手は、5位に入ったスペインのロドリゲス選手のようです。メルクスはゴール前であきらめてしまっていますね。

最終成績は、メルクスが12位、ジモンディが33位、エマールは80位でした。

 

次回は、メルクスがオリンピックで乗った自転車を検証します。