隣人との関係 | ciamemo〜オーストリア・リンツより〜

隣人との関係


少し前の話になりますが、
作曲締め切り当日、朝9時頃に
下の階の奥さんがピンポンしてきて、

「お願いだから、音出すのやめて頂戴!」

と不機嫌な顔で言いにきました。






奇しくもその日は日曜日。


オーストリア人が「日曜日は休息日」といって
近所の掃除機の音や洗濯機の音にも敏感だという話は
よく聞いていました。




で、その彼女がやってきたとき、
タンタンがチェロの練習を自らしていたんです。

朝の8時から(汗)






私もさすがにそれは早いだろうと
彼が練習を始めたときに
旦那さんに聞いたのですが


「8時?大丈夫だよ、許されてるよ」


と言うので気になりつつ、ほっておいた矢先でした。








その奥さんに謝って、タンタンの練習をやめさせた後、
私、途方に暮れましたよ・・・。



だって、締め切りの夜19時までに
あと数小節仕上げなければいけないんだもの!!!!叫び




どう考えてもピアノなしでは無理でした。







そんな時に限って
頼りの旦那さんは日本公演で家を出る直前。

私一人の交渉にかかっている・・・・叫び叫び叫び











音楽家が家を探す場合、
音出しを前提に考えて、

前の住人も音楽家で周りはOKしてくれていた、とか
音だしOKの大家さんのところ、とか
一軒家の一部、など、

ストレスフリーの環境を先に求めて選ぶ人も多いです。





ただ、基本的には音だしOKの時間は法律で決められているらしく(旦那さん談)、
それを守っている範囲で苦情が来た場合、
真っ向から対決する覚悟で
好きなところに住む、ということも可能です。







旦那さんは後者のタイプなので、
たとえ争うことになっても彼が矢面に立ってくれると信じて
私は今まで気にしたこともありませんでした。


実いうとウィーンでも1回、
それまで言い争っていた階下の住人に通報されて
警察まで来たことはあったのですが
(でも警察は「え、こんな小さい音で?」と言って帰っていきました^^;)
警察が帰った以降から、隣人さんからも音沙汰一切なし。
なんだったんだろう・・・


という経緯もあり。





そんなことも思い出しながら
連日の睡眠不足と締め切りへのストレス、
なぜこんな日にという苛立ちとで、
自然と涙が溢れ始めていました(汗)




で、気づいたらケーキを作り始めていました・・・









作りながら、
何と謝るか、どういう風に交渉するか、
相手は受け入れてくれるだろうかと
何度もシュミレーションしながら、

お昼前にやっとできたケーキを持って
下の階の奥さんのところへ
恐る恐る行ってきました。







彼女は、病気で二日間ろくに寝ていなかったこと。

18歳になる娘さんが
朝から「うるさい!」とチェロの音に発狂していたこと。


色々なことが重なっていたそう。




彼女も、私たちが音楽家であるということ、
私が作曲していて、今日が締め切り日であることも到底知る由もなく、
私が心から謝ると、

「もちろん。
あなた達のこと、知った以上は理解できるわ
今日も音だししていいわよ」

と病気で辛そうなお顔でも
おっしゃって下さいました。

「でも日曜は8時からはやめてね(笑)」

とも(^^;




私、彼女の前でホッとした安堵からもう一度涙しました(笑)





すぐに謝らないオーストリア文化の中で
このように下手に出ること、賛否両論かもしれないですが、
私はあの状況の中で

「私たちにだって音を出す権利はある。
朝8時に音だしは許されている」

とは、とても主張できませんでした。




だって、どんなに小さい音だって
騒音と感じる人には騒音にしか聞こえないだろうから。。。。

そこは、どんなに正義をかざしても、
警察が間に入ろうとも
彼女にとって苦痛は苦痛でしかないのです。





ここに引っ越しして2年、
旦那さんとも「ご近所さんと知り合えたらいいね」
なんて話していたのに、
私たちがほぼ引っ越し1番手で(新築の物件でした)、
後から来た人もいつ引っ越ししてきたのか分からず、
挨拶も来ないし、私たちも行かないしで、
なんとなく すれ違うだけの関係になってしまっていました。




でもお互いを知らないことが、こんな結果を生むこともあるのだと。






その奥さんも言っていましたが

お互いここに住むとなった以上、
近所づきあいで嫌な関係は築いていきたくないと。

相手のことを知れば知るほど、
許容範囲も広がるから、と・・・。



本当に当たり前のことなのに、
私も自分が音を出す立場で
挨拶に行くのを忘れていたことを後悔しました。






彼女と和解したその足で、
私たちの直接の階下にあたる人にも挨拶にいきましたが


「えーーーーーーっ、私たち、音楽大好きだから
嫌などころか楽しんでるわよ!」


と断言されて、
それはそれで涙が出るほど嬉しかったです。










その1週間後、
下の奥さんにもう一度お礼を言いに行くと、
お部屋に通してもらって、
娘さんも紹介して下さいました。

お互い笑顔で別れて・・・



私は私のやり方を信じてやって良かったなと、


そして、
苦情がきっかけではあったけれど、
こういう風に近所の人と知り合えて交流を深められたこと、
かえってラッキーだったのかも

と思ったできごとでした。



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