義両親との確執(?) | ciamemo〜オーストリア・リンツより〜

義両親との確執(?)

それは、旦那様の実家に来て5日目に起きた。

晩ご飯に義父さんが来ない。でもお皿も飲み物を用意されているし、私としては「好きなテレビ番組でも見ているのかな」くらいしか思っていなかった。

晩ご飯も終わりに差しかかろうとしているときに、旦那様が「そういえばどうしてお父さんは来ないの?」と義母さんに聞いた。

すると彼女、「あぁ、彼は食事をしているときに授乳されるのが嫌なのよ」とサラリと言うではないか。

私は一瞬にして青ざめ、同席していた旦那様が「上(私達の寝室)に行こう」とすぐに私を促した。

寝室に入るなり、私は悲しさと後悔と、いろいろな気持ちが混じって泣いてしまった。

旦那様のご両親は、こういう言い方は変だけれど、私の実家よりも文化レベルが高いというか、田舎のちょっとした品のある家庭というか、食事のときはいつも真っ白なノリの効いたテーブルクロスが敷かれ、銀のフォークやナイフが並び、ちゃんとした「食事」というものをしなければならない。

ぽぽちゃん産まれて以来、彼女の昼夜関係ない生活と共に生活している私達。私に至っては、食事を作ることはおろか、自分がまともに食事をする時間すら取れたたことが一度もないし、それを旦那様のご両親も分かってくれると思っていた。

ところが、1日3食、つまり3回、義母さんはちゃんと「ご飯ですよ」と呼びに来る。そのときに私は授乳中のこともあるし、ぽぽちゃんを寝かし付けていることもあるし、どちらにしてもキチンと食事の席について1時間静かに食事をするということはできない状態だった。昼間、抱かないとぽぽちゃんが寝ないというのも問題だった。

義母さんが「ぽぽちゃんで忙しかったら食事は後でもいいのよ」と言わなかったので、私はその「席」に同席することの方が、席をはずすことより大事だと理解した。旦那様も同意見だった。そしてそのためとは言わないが、ちゃんと外から見えない授乳服も購入して持ってきたのだ。

でも考えたら、旦那様のご両親はかなり高齢だ。食事の席で授乳する、ということは品のないことだったに違いない。いくら授乳姿がまったく見えない服を着ているとはいえ、最初にどうしたらいいか聞かなかった私もバカだった。

しかしながら、一番のダメージは義母さんだった。私は彼女のいつもニコニコしてフレンドリーで品のいいところが大好きで尊敬していたので、今回の件にしても義父さんがそう思ったとしても、それを直に伝えるのでなく、間に立って私達の側についてくれているものと信じ切っていたのだ。彼女の冷静さからは、彼女も私達に何かわだかまりがあることを暗に示していた。

旦那様は「君に対してそんなひどいことを言うなんて信じられない。自分の両親を恥ずかしく思う」とすぐに両親に抗議しに行った。


そして、しばらくして帰ってきた彼の話を聞くところによると、授乳云々の問題よりは、どうして私が食事の30分前に授乳を開始して食事の席に間に合わせないのか、ということが問題だったらしい。

つまり、ぽぽちゃんの生活リズムでなく、自分(大人)達の生活のリズムにぽぽちゃんを合わせないのか。泣くとかまってもらうと分かっていて赤ちゃんは泣くのだから。泣いても泣きたいだけ泣かせておけば疲れて寝てしまうのだから、というのが彼等の意見である。挙げ句の果てには「昔の子はみんな良く寝るいい子だった。今はパソコンや携帯や電磁派で子供がおかしくなってきている」

私達の意見は、忙しいのならともかく、第一子ということもあってとにかく泣くのをほおっておけないし、赤ちゃんが自分のエゴのために泣くわけがない。泣くのには一人でほおっておかれて寂しいとか、なんらかの原因があるに決まっているし、時間がある限り側に居てあげたいというのものだ。そして、ぽぽちゃんは昼間寝ないけれど全く普通の子である!

この件に関しては、3日前に義母さんと旦那が喧嘩しており、旦那様が「僕達には僕達の子育ての方針があるのだから、口出さないで欲しい」と言ったばかりで、まぁよくある話なのだが、そのときのしこりを義母さんがまだ持っていたのだと思う。

義母さんはぽぽちゃんが来るのを心から楽しみにしていて、私達がすべてリンツから持って来なくていいように、ベビーベッドやらベビーカーやらすべて用意してくれていた。子育てについても、先輩ママとして、やっと私達の生活に介入、もといアドバイスできると張り切ってくれたに違いない。きっと思ったようにいかなくてストレスが溜まっていたのかな・・・。

とにかく、こんな状態で私は、明日の食事もどうすればいいか分からない状態だ。旦那様は「明日にでもリンツに帰るかもしれない」と言い残してきたという。

初めての旦那様ご両親との亀裂。その日は私は悲しさで、夜もろくに眠れなかった。