7/4になると思い出す人がいる。


相方の元同僚で、7/4に逝ってしまった人。

心臓発作だった。享年42歳。


ピアノを弾く一方でハンター。鹿やイノシシの狩りをする。ハンティングの方法は弓矢と聞くから驚く。さらにはダイバー。相方と同じくアルコールをこよなく愛し、ステーキはかならず超レアで食べる。こんな豪快な事を聞かされて会ってみたら物静かでソフト。


最初の離婚からかなり経って毎週行く教会で知り合った女性と再婚…とここまではよかった。


ところが、再婚相手の女性がかなりのくわせもので…最終的には旅行先で彼女が何が原因かはわからないがプツンと切れ、ホテルの部屋のテレビやら家具やらを壊し、あげくの果てには彼のスーツをズダズダに切り刻んでしまう惨事をしでかした。勿論、この騒ぎを知った隣室からフロントに連絡が入り…後は想像通りのストーリー。彼女は警察に逮捕され、留置所へ直行。彼女の仕事は教師だったと言うからこれも、ひっくり返った。彼はひたすら自分の防御だけをし、彼女にされるがまま。男性と女性では腕力は違いすぎる。その点は冷静に判断し、絶対に手はあげなかったようだ。裁判は離婚とこの出来事が同時進行し、とくに離婚では彼のもっている財産全ての半分は彼女に持っていかれた。たとえ結婚生活がわずか3年でも…


この女性、どうやら以前はアルコール依存性だったようで再婚するなり彼には家呑みするな、アルコールは置くな、と言ったらしい。その他にも多分彼なりに、女性に対して何らかの違和感や疑問があったのだろうが、信仰深さが邪魔したようで”神様が出会わせてくれたからうまくいく、いくはず”と信じたかったようだ。


再度離婚、裁判…と続き、さらにはパンデミックでレイオフされ新しく仕事が決まったのにさらに追い討ちをかけるようにまたレイオフ…彼の心臓が悲鳴をあげていたに違いない。


毎年、独立記念日の7/4に家族で集まる場所に現れなかった彼。何度も連絡しても繋がらない…彼の父親が車を走らせて見つけたのは変わり果てた姿の息子だった。


亡くなって4年の年月が経つが、相方はこの日が来ると必ず彼の父親に短いメッセージを送る。


逝ってしまった人は次第に忘れ去られやがて記憶から消える。仕方のないことかもしれない。


だけど相方にとっては気の合う数少ない同僚、時には弟のような存在だったようだ。多分、相方はこの先ずっと、可能な限りこの日になると彼の父親にメッセージを送り続けるだろう。