1970年代…だったと記憶している。


アメリカのテレビ番組、Columbo が日本で放映されていて、明治生まれの祖母と一緒に観た記憶がある。


小池朝雄氏の吹き替えでヨレヨレのレインコートに葉巻、そしてかなり年季の入った車がトレードマークの刑事コロンボが思いもしない糸口から犯人に執拗に食い下がりジワジワと犯人を追い込んでいく様は、なかなか見応えがあった、


“うちのカミさんがねぇ..”と言う台詞が出るたびに、祖母と二人で、”今日もでたねぇ”と顔を見合わせて笑ってものだ。


土曜日の夜のテレビ番組は退屈なのでチャンネルをあちこち飛ばしていたら偶然、この懐かしいこの番組を見つけた。刑事を演じていた俳優の声のピッチが吹き替えの声と比べて高かったのは意外だった。申し訳ないけど、やはり聴き慣れたせいか、小池氏の声での吹き替えのほうが雰囲気があっているように思えた。


番組の中では、彼の運転する車が撒き散らす排ガスにこの頃は規制が緩かったのだろうとか、喫煙規制もなくどこでもタバコを吸っていたんだなとか改めてみるとその時代の背景がわかり、ある意味新鮮だった。


今から思えば明治、大正、昭和と激動の時代を生きた祖母。一時は敵国として認識していたアメリカの番組を楽しみにしていた祖母は、何を思いながらこの番組を観ていたのだろうかとふと思った。


ただ孫娘の私がアメリカに住み吹き替えなしの刑事コロンボをテレビで観ることになるなんて、私はおろか祖母は当時は思いもしなかった。