相方のカナダでの大学時代の友人が2年前に突然亡くなった。


“最近胸が痛いんだけどちょっと昼寝でもして、横になれば楽になるかもしれないから、また後で”


これが彼から相方への最後の言葉になった。


さて、彼の死後、友人達が集まって、長年彼がしたためていた俳句(英語で作成)や詩の中から選りすぐったものをまとめて出版することにしたらしい。


が…話が進むにつれ最終は”エイエイオー!”の”故人のランチ仲間の友人達”も早々に手を引き始めた。あるある、です。メールを送ってもナシ粒😅。故人の意思、そして何よりも友人であった故人の希望を叶えるためにアメリカからほぼ相方が1人で、彼の書いた詩や俳句を選択し本のカバーのメッセージを頼まれるままにかいた。


ところが思いもしない小さなバトルが始まった。その相手は、故人の元妻。この故人の夫婦関係はちょっと複雑で、法律上は何らかの理由で夫婦として繋がってはいるものの、15年前から別居状態。しかも住んで居た家を売って折半しているから事実上、離婚も同じ。そして彼の遺産は全て2人の息子が相続するように事前に遺言を残していた。


本来なら彼の妹がリードする出版プロジェクトに、この元妻が参入してきた。相方に故人の写真がほしいと言われて送った故人の写真に女性が写っている、何を考えているんだ!とか(はあ?何で15年も前に関係が終わった元妻がそこに目くじらを立てる?)、やれカバーに書かれた文章が長すぎるなどとクレームを入れ、さらには彼女が勝手に相方の文章を編集してきた。


これには相方はかなり激怒。そりゃそうでしょ。普通は、書いた本人に編集依頼するのが筋。ところが元妻は自分の意見を譲らない上に、かなり失礼な、しかも上から目線でメールを書いてきた。


何様のつもりだ!と相方の激怒はさらにパワーアップ。

“故人の妹からはすでにOKをもらっているし、今更なんだ!”と。結局のところ故人の妹の鶴の一声で相方の文章が編集することなく掲載されることになった。


ところが蒸し返す、蒸し返す。もう原稿は出版社に送っていると言うのに。挙句の果てにはこの元妻、”私が一番故人のことを知っているんだから!”と、メールをよこしてきた。


分かるよ、一時は夫婦”だった”のは。だけど関係が終わった15年の間に人は変わる。実際、故人はガールフレンド擬きも居たけど、元妻はしらない。元妻がいくら感傷的になったところで故人が残していった遺産相続から本の出版まで元妻の名前すらでてこなかったのは、故人は完全に彼女とは縁を切っているように思える。この事実を彼女は直視出来なかったのかもしれない。


相方は、”年を取って一番堪えるのは孤独なんだ”と言う。多分、元妻にとってはいくら随分前に別れても、元夫から”あなたはお呼びでない”という現実があってもそれを受け入れることはできなかったのかもしれない。あるいは彼女なりの亡き元夫への供養だったのかもしれない。だけど一緒に過ごした時間だけをかき集めてそれを振りかざすのは、気持ちはわかるけどそれを本当に故人が望んでいたのかどうかは、わからない。


少しばかり考えさせられた出来事だった。