私がアメリカに来て間もないころにカルフォルニアで暴動が起こっていた。日本で殆ど暴動を見たり経験したことがなかったので驚いたものだ。弱い立場の人達が声を上げたところで聞いてはもらえない、だったら実力行使しかない!と思うのは短絡的と言えばそうかもしれないが、暴力行為は別として、長年虐げられ、差別行為や不当ない扱いに我慢ができなくなりキレてしまう心境もわからなくもない。


ただ、当時とっていた移民に関する授業で、日系人が暴動を起こした話しは聞いたことがなかったので、差別や不当な扱いを受けながらも、なぜ日系人は暴動に訴えようとしなかったのか?と単純に疑問を持ち、Kさんに聞いた。


“暴動よりも、私達は日本人である誇りのほうが強かった。時間はかかるが、いつかは日本人は凄い、日本人は信用できる、間違いがない、何も言わないけど勤勉で必ずやり遂げると言うことを証明したかったんです。だから歯を食い縛って頑張りました。”


嗚呼、この人達は、背中にいつも日の丸を背負って生きてきた方々だったのだと。ともすれば崩れてしまいそうな状況にも拘らず自身を律し気高くアメリカで生きて来た人達なのだと思った。


静かなプライドの裏では、必ず見返させてみせる、それができると言う信念と自信がなければ到底耐えられない。


アメリカ人と働いていると、”キーキーと音を立てるネジには油が入れられる”から、声を上げないと玄関にあるマットのように誰もが踏んづけていくわよ”と言われたことがある。日本人はアメリカ人のように、いわばサバイバル精神で教育は受けていないので、はっきり口に出して言うのに慣れていない。


かと言っていつも騒議立てている人達の話の内容を聞いてみると大したことを言ってない場合もある。この程度で大口叩くんじゃない、恥ずかしいと思わんのか?と思う。


だけどよく見ていると、できる人ほど何も言わない。黙々と事をこなしている。先の先を読んで動いているのでギャーギャー騒がない。だから誰も最初はわからない。だけど浅知恵の騒ぎ立ててる輩が困らせるつもりで言った事にラサリと切って返し、浅知恵は何も言えず地団駄を踏む。気の毒になり、思わず”墓穴掘り、手伝おかぁ?”と声をかけたくなる。