相方とおつまみ夕食を食べながら、話してくれた人生の闇…


彼は、相方と小、中、高校と付き合ってきた仲のいい数少ないクラスメイトだった。高校では生徒会長を務め、誰もが認める活動的で人柄もよく、さらには頭脳明晰だった。高校卒業後、彼は医学部に進み医師になった。ここまでは、いわばどこにでもあるお話。


5月にカルガリーに行った際、久々に相方の高校時代の同級生が数人集まってプチ同窓会をした時に、その中の1人が相方にこっそり、”彼”についての近況を教えてくれた。


お前と仲が良かったアイツ、今、どうやら清掃係らしい..” 

えっ?医者だろうが?

…いや、医師だったんだけど、詳細はわからないんだけど、どうも医療ミスか何かで医師免許剥奪されたらしい…


詳細は話してくれた人も知らないようで、一体どんな事情で医師免許を剥奪されたのかはわからないといいながらも、今の彼の状況は想像出来なかったようだ。


誤解してほしくないのは、私は清掃をされている人がどうだこうだと言うつもりはさらさらない。それはそれで大変な仕事だし、例えばホテルで限られた時間で清掃を担当されている人は、仕事とはいえ頭が下がる。使用する側の私は、清掃担当の人がらどうすれば効率よく仕事ができるのか考えて、使ったタオルを一纏めにして分かるようにしたり、清掃はスキップしてもらうこともある。


話しをもとに戻すと、誰でも自分に対しての期待や自尊心を持っていると思う。その期待や自尊心が何かのきっかけでひどく傷ついた時、そしてそれを取り戻す時間がないとすれば、人はどうするのだろうか?


彼のように、たとえほんの少しでも自分が学んだことに関連する仕事すらできなくなった姿を思うだけでも相方にとっては、高校時代の溌剌とした、全てが順風満帆で進むと疑わなかった彼の人生だけにショックは大きかった。


高校時代は、将来を描くのは時希望や夢!しかない。だけど時間が経つに従って人生のあちこちに落とし穴がある事に気づく。そしてその落とし穴に入ってしまった時、どうしょうもない闇を見る。