ふと、あの子はどうしているんだろう?と頭に浮かんだ。
あの子とは、小学生の頃のクラスメイトだ。
彼女は字が上手で、勉強が良くできた。一人っ子で何時も綺麗な洋服を着て、子供心に羨ましかった。たまに彼女の母親が仕事から帰ってきたところに出会うことがあったが、いつも彼女に何かを買ってきて、これ、どっちが好き?と彼女に訊いているのを何度か横で見た。それは、綺麗なピンク色のベルトだったり、洋服だったり。私の両親は共働きだったが、こんな風なサプライズ!はなかった。いいなぁ、、と思ったのを今でも憶えている。
ある朝、担任からいきなり彼女が転校したことが私達につげられた。年端もいかない子供のこと、え?いきなり転校なの?と驚くよりも意外だったのを憶えている。
彼女の転校を告げられた日の放課後、自宅に戻ってから彼女にお別れを言おうと自転車で何度か行ったことのある彼女の家まで出かけた。
ただ、どうも彼女の家の様子が変、、。なんだか人が沢山いて、強い口調で何やら話しているのが見えた。
何故だかわからないけど、彼女の家に行ってはいけないと思い、引き返した。
その途中で、当時店を持っていた叔父かかなり早いスピードでバイクを走らせているのに出合った。しかも叔父の行く先は、彼女の家だ。
?マークが私の頭に飛び交い、しかも本能的に黄色の信号が点滅していた。その夜、誰にも私が何処に行こうとしたのか話さなかった。
数日後、全てが分かることになる。
おそらく母親からきいたのだろう、ちょっとませたクラスメイトが事の次第を教えてくれた。事の重大さを認識するには余りにも幼すぎた私だが、それでも大変なことだと言う事だけは、理解していた。そして、何故叔父や他の人達が彼女の家を取り巻いていたのか、その理由もわかった。
しばらく経って、担任に彼女からクラスメイト宛てに手紙が来てそれを読んでくれた。元気にしている事と相変わらず勉強を頑張っている事が書かれていた。
多分、担任に彼女の住所をきいたのだと思う。私は暫く彼女と手紙のやり取りをしていたが、お互い中学生になって忙しくなり自然消滅してしまった。
この年代になって、ふと、転校した本当の理由を彼女は知っていたのだろうかと思った。
完全に音信不通になってしまったが、元気で暮らしている事を祈っている。
