明るく優しい口調は
大学時代の彼そのもので
懐かしさでいっぱいに
なりながら
次の言葉を待った
「ここね・・・
××市のベッドタウンなんだけど
(××市とは北海道でも有数な
工業地域)
××市に通勤で通う人は
もっと××市寄りに
住むのよ
この地図で示されている所は
○○市のなかでも
山に近くて
どちらかというと
温泉地域
あまり居住者がいないわけ
それにここね
宅地は宅地なんだけど
下水道管が通ってないところなわけよ
それにここの近くに
小学校があるんだけど
他校との合併が決まっていて
閉校することになっているのさ・・・」
「・・・・ということは
そこにはこれ以上
人が増えないってことよね?」
私はすかさず聞いてみた
「まあ、そういうことだよね」
「例えばこの家に
住むなり貸すなりを
考えても
まずは下水道工事を
しなきゃならないよ」
「そして今言った通り
これから先は人が
どんどん減っていく地域だね」
わ~~~お!!
それは聞かなきゃ
分からないことだわ!!
「固定資産税の税額を聞いたら
まあ払ってもいいかって
思うかもしれないけど
この土地、建物ね
持ってるだけ厄介になるよ」
「家を取り壊すのもお金掛かるし
土地だけにしたとしても
周りには住宅があるから
それなりに管理も必要
そして売ろうと思っても
ここじゃ買い手は出てこないよ」
お~~~~~!!
これほど明解なことが
あるだろうか!!
私が聞きたいすべてを
教えてもらえた
「じゃあじゃあ
放棄した方がいいですね!!」
「これでなんの迷いもなく
放棄の手続きしますわ!!」
「うん、そうだね
納得できる回答だったかな?」
先輩はやっぱり
優しく言ってくれた
お別れの挨拶を交わし
電話を切った