カレは、ある事情から、1年間、海外で暮らすことが決まっている。
それは私と付き合い始める前から決まっていたことだった。
一度別れたあとに、もう一度よりを戻すことになりそうな会話の中で
カレ『What do you want to do?』
私「あなたのそばにいたい。ただそれだけ」
カレ『Even I will leave Japan next year?』
私「それが、私が愛する事をやめる理由になると思うの?」
カレ『I didn’t stop.
Do you think you can just stop feelings like that?』
こんな会話をした。
国際遠距離恋愛の経験が、カレにはあるけど、私にはない。
14時間の時差、1年会えないこと。
淋しがり屋の私には、はっきりいって不安しかない。
しかし、私は恋人が欲しかったわけではなく、ただカレを好きになっただけなので、状況が気に入らないからといって、他の人を探すなどという気もない。
カレのことが好きである以上、どんな状況も受け入れるしかないのである。
それならばせめて海外に行ってしまうまで、日本で可能な限り沢山会っておこう、そう思った。
しかし、そう思っていたのは私だけだった。
カレは、日常のペースを全く変えない人だということが、付き合い始めてわかった。
確かにカレの仕事の拘束時間はとても長い。
そして、休みも少ない。
今年に入ってからは特に忙しく、休みの日は、日本を離れる準備で荷物を作ったり、減らしたりと忙しい。
渡航の時期を自分で決められるわけではなく、連絡を待っている状態が続いている。
「今年」ということしか決まっていなく、いつなのかがはっきりわからない数ヶ月を過ごしていて、それでも準備を進めなければならない。
カレには健康上の問題が少しだけあり、医療体制が良くない国に行く前になるべく多くの検査と治療にも通わなければならない。
そのため、歯の治療やメンテナンスなどにも、頻繁に行っている。
一年間の渡航先は医療費が高額な国で、日本の医療の質の高さと医療費の安さを考えると、渡航先ではなるべく病院にかかりたくない、というのも理解できる。
その上、コロナが増えている時には、職業柄ステイホームを徹底するから、県をまたぐ私とのデートなど、してくれるはずもない。
私は、私の住む県と、カレが住む県と、その間の県の3県のコロナ陽性者数を、毎朝チェックするのがこの一年弱の日課となっている。
パスポートなしで、数時間で会える場所にいられるのは、あと少しなのに、思うように会えない日々。
たまに会えた時の、時間の過ぎるスピードといったら、もう。
Time flies… なのである。